アクティブラーニングなら取りたくない生徒の気持ち

2年生が来年履修する科目の登録を行う時期になりました。
選択科目の相談に生徒がやって来るのですが、すでに来た何名かが皆同じような質問をします。

3年生の生物の授業はどんな形式ですか?
やっぱり、「アクティブラーニング」なんですか?
講義はないんですか?

そこには、受験を「自習」でなんか乗り切れないという不安や、どうせ自習みたいな授業だったらわざわざ登録する必要はないだろうという空気が感じられます。
聞けば、1年生の時の授業が心に引っかかっている生徒がいるようで、「やる気のあるグループに当たるといいけれど、やる気がない人と一緒になると辛い」というようことも聞こえてきます。
そもそも、授業でやっていることを「アクティブラーニング」と表現することはありませんが、ドラマも始まっていますし、生徒の中ではそういうものになっているようです。

授業中に楽しそうにモリモリと学んでいても、かつ試験できちんと結果が出たとしても、それは必ずしも生徒の「安心」にはつながらないのだという難しさを感じます。
最初から最後まで、「いい環境」を教員が積極的に作って、ずっと「安心」して学べる授業、というのも違う気がしますが、そもそも履修登録のハードルになるほどの不安があるのは大きな課題です。

相談しにきた生徒には、自分なりに伝えていくしかないと思っていますが、直接相談してもらえないところで不安ばかりが広がっているとしたら、とても悲しいと感じます。
ある生徒からも、「試験で40点台ばっかりだったわけですから心配にもなりますよね」と言われて、驚愕しました。
昨年の試験でいつも40点台ばかりということはなかったはずですが、ネガティブイメージが先行すると、そのイメージが定着してしまうこともあるのだと思い知らされました。

本質ではないと思いますが、大学受験でも「結果」は出ています。
何より、授業中に、皆で楽しく学び、受験のストレスも軽減しながら、和やかな雰囲気で様々な力をつけていける授業になっているように思います。
受講した生徒の最終授業アンケートでも、ほとんどネガティブな感想は出てきません。

でも、今の3年生に聞いても、こんなことを言われました。

最初は、生物の担当が大野先生だと聞いて「終わった・・・」と思いました。
面倒臭い先生だって評判だったので。
でも、実際に授業を受けたら全然そんなことはなくて、今はこのクラスで良かったなぁって思います。

「面倒くさい」は、僕は大切にしていることです。
おそらく、今の授業も捉えようによっては十分「面倒くさい」ものかもしれません。
でも、その「面倒くささ」は、やがてポジティブな捉え方になる。
でも、このあたりは2年生の生徒には伝わりにくいものです。
さて、どうするべきか。

同じ2年生でも、生物以外でもアクティブラーニングをやってほしいと思っている生徒も一定数いるという話も聞きました。
全員が「不安」を感じているわけではありませんし、授業で目指すものが共有できている生徒もいます。

履修登録まではまだ少し時間もあるので、できることはしようと思います。
そして中長期的には、生徒の「不安」にどのように対応するかということも考える必要があるのだと思います。
大きな宿題を課されたような気持ちですが、「他律から自律へ」という理念を大切に、ベターを求めて考え続けたいと思います。