願いと在り方の尊重は大前提

昨日、こんな記事をフェイスブックで投稿しました。

 

2015年度の、国立高校生物科チームです。
講師で来てもらっていた香川さんは、大学院での研究に専念するため、今年度は講師ではありません。
しかし、大学を卒業したばかりの修士1年生で、とつぜん非常勤講師を週6時間、しかもAL型授業や課題研究、その他の様々な実践にも付き合っていただき1年間を走り抜けたことは本当に素晴らしいと思いました。


昨日の1月の生物教育学会の発表資料に関する記事で、これからの教員の職能について、「教えること」から「引き出すこと」に、また、「完成された授業を行う」ことから「柔軟に変容し続ける」ことになると書きました。
香川さんは、この職能を備えた人で、教員としての素晴らしい資質・能力を持っている方だと思います。


また、板山先生も、ぼくの異動直後に「今までの授業を全部壊してもいいと思っている」という大胆な宣言をなさっていましたが、最終的には、グループ分けもない「はい、どうぞ」の授業になってしまっていました。
しかも、それをごくごく自然体で、自分自身が楽しみながら変容していっているのがすごすぎます。


このような、可能性に満ちた大学院生と、変容を楽しめる大ベテランというお二人と一緒に国立高校生物科のチームを組めて、たいへん幸せでした。
香川さんには最大級の賛辞とエールを送りたいと思います。


そして、本日、新しい講師の先生も初授業でした。
それは、AL型授業デビューでもあったそうです。
今年度も国立高校生物科はチームで進んでいきます。
僕自身も、チームの一員として精進します。

 

この記事に関して、ある方から以下のような趣旨のご指摘をいただきました。


●"学生の非常勤講師の先生にAL型授業の実践をしていただいたほか、その他の課題研究の実践にお付き合いいただいた"というのは、従来の非常勤講師の先生の職務を超えた負担になっていないか。


●AL型授業は準備や打ち合わせに時間がかかるが、準備などを含めた実労働時間が金銭的報酬とバランスが取れているのか。


●非常勤講師の先生といえども、社会経験も少ない学生なのだから、ある程度勤務先が配慮しないといけないものではないのか。


僕自身は、この指摘に対して、「そういう見方もあるのだなぁ」と感じました。
僕の勝手な思い込みかもしれませんが、香川さんは、自分なりの「want」を軸に、自分なりの「can」で勝負できていたように思います。
それは、AL型授業もそうですし、課題研究も、です。
馴れ合いになるのではなく、かといって牽制し合う訳でもなく、お互いの「want」や、展開される授業を大切にしながら、お互いがよい刺激を受けて、「もっといいもの」を目指して成長できる。
そんな関係性ができていたように思います。


でも、逆に言えば、こういう関係性があるからこそ、AL型授業やら課題研究やらに一緒に取り組める、ということなのだと思います。
もしこれが、本人の「want」が尊重されず、「can」を超えた要求に応え続けなければならないとしたら、それはとても不幸なことだと思います。
おそらく、このメッセージをくれた方は、そのような現場を実際に見たことがあり、純粋に香川さんを心配してメッセージを発したのだと思います。


僕は、「皆がAL型授業をやらねばならない」とか「やるべきである」という発想では、あまり意味がないだろうと思っています。
多くの場合、状況を悪化させる可能性が大きいようにも思います。
それぞれの願いや在り方が互いに尊重されることは、ALとか何とか言う以前の大前提です。
このことは、やはり大事なことなので、情報発信をするにあたって、常に意識しておきたいと思いました。