もがき続けるという価値

※この記事は、2013年10月21日のFB記事の転載です。

 

朝井リョウさんの作品を二作読みました。

 

「何者」
「世界地図の下書き」

 

「何者」は、就活中の若者の心の闇をSNSをテーマに描いたもの。直木賞受賞作です。
「世界地図の下書き」は、児童養護施設の子供たちの抱える様々な問題と、"逃げる"という選択肢について正面から描いたもの。直木賞受賞後初の作品です。

 

作者自身の言葉によると、どちらの作品も結末を先に決めてあり、そこに向けてストーリーを紡いだということです。
それぞれの物語の終章には、登場人物に語らせながらも、作者自身の強烈なメッセージが込められています。
いずれの作品も、そのメッセージに胸を熱くし、光を感じました。

 

朝井さんの作品は、この二作品以外に「桐島、部活やめるってよ」を読みました。
彼の作品に共通するのは、登場人物が心に大なり小なり闇を抱え、その闇をさらけ出しながら、それでもそれぞれに必死にもがいている姿です。
それは、ある時には見苦しくもあるものかもしれません。
でも、人間はそうやってもがいて生きていくしかないし、汚さも、格好悪さも、見苦しさも、羞恥も、全て引き受けて、それでも等身大の自分で生きていくしかない
そんな全ての人にエールを送っているのが、朝井リョウさんの小説だと思います。

 

もがく。
今目の前にある困難に対して。
過去から引きずる深い闇に対して。
好きになれない自分の内面と理想の自分との葛藤に対して。
もがく。

 

周囲にバカにされても、もがいている自分が惨めでも、明日に確たる希望が見えなくても、ただもがき続ける。

 

誰に評価されるわけでもないけれど、そんなもがきは美しいし、価値がある
少なくとも、僕はただただもがく登場人物たちに共感し、彼らの生き様に価値を見出しました。

 

また今日も、もがき続けるばかりです。

 

※2014年10月30日追記
THE BOOMの「そばにいたい」という曲にこんな歌詞があります。

 

”手を空高く伸ばしてみてごらん
何かに触れたら それが未来さ
背伸びしても飛び跳ねても もがいても構わない
神様はいつか君に気がつく”

 

中高生時代に、この歌詞にずいぶん力をもらいました。
そして、今また、朝井作品とともに新しい気持ちで聞くことができます。
大好きな一曲です。