クローズアップ現代「信用スコア」

クローズアップ現代
「金回りも恋も点数次第!?巨大企業が個人を格付け」


●感想
今後、「信用スコア」は日本でも広がりを見せる可能性がある。
番組でも指摘されていたが、ある意味では「公平な」評価が個人になされることで、その人にとってメリットが生じることもたくさんあるが、同時にスコアが低い人がいつまでもその状況から脱却できない「負のスパイラル」に陥るという可能性もあり、それはなんとしても避けねばならないと感じる。
また、特定の企業が評価軸を明らかにせず格付けを行い、それが様々な利害関係を生むとなれば、これに絡んだ軋轢は必ず生じる。
このシステムには功罪両面があると思うが、基本的な発想として、「権力者による人々のコントロール」や「より効率的にビジネスを行うための手段」などではなく、それが「人を幸せにする仕組み」かどうかということが重要だと思う。
色々なことはあるが、まずは、「信用」が「お金」と同様に、あるいはそれ以上に今後重視されるかれないということは是非高校生にも知っておいて欲しい。


●番組メモ
アリババによる中国の「ゴマ信用」
システムを利用する全ての人を点数で格付けする。


点数を決めるのは細かな個人情報
購買履歴、ローンの支払い状況、口座残高、人脈、学歴、所有者、犯罪歴など
AIが分析し950点満点で採点。
点数に応じて様々なサービスを受けられる。
550点以上の人は携帯の充電が無料になる。
さらに点数が高いと病院の予約が優先され低い金利でローンが借りられる。
婚活サイトでもゴマ信用の点数が重視される。


中国では政府の有力者とのコネが有力視され裏金も横行。
個人を評価するより客観的で公平な基準が求められていた。
そのためゴマ信用は急速に広まった。

加熱ぶりが懸念される事態も起きている。
アリババは点数の上げ方を公表していない。
しかし様々な憶測や噂が広がっている。
点数が低い友人がいると点数が下がると言う噂があり、友人関係を切るようなことも起きている。


ゴミの分別をしたり、環境にやさしい行動するとスコアが上がるようにすることでそのような行動を引き出そうと言う試みも始まっている。


「信用」がお金に並ぶ大切なものになってくる。


一気に点数をベースにした新たな身分制度にもなりかねない。
もともと低賃金の色にしかつけない人が、低賃金の職についたことで点数を下げる要素になり負のスパイラルが起こる可能性がある。


アリババによる一極化した価値ではなく、評価軸の多様化がカギ。


日本でも、個人を1000点満点で評価しスコアに応じてローンの金利を決める試みが始まっている。
多くの質問の回答をもとにその人の健康状態や将来性などを総合的に判断する。
努力次第でスコア上げることもできる。
例えば、毎日8000歩以上歩くことで健康状態に気をつかっているとAIが判断しスコアが上がる。
またAIが推薦した本を読むとスコアが上がる。
こうしてスコアを上げ、安い金利でお金を借り借金を完済できた人がいる。


現在のところ、結婚や就職などその人の人生に関わるところまで利用を広げる事は考えられていない。


中国では政府も国民を格付けするようになってきている。
鉄道の利用状況等に応じて格付けを行い、すでに2000万人以上の人が鉄道などの利用を禁止されている。
より信用が低い人はネットで氏名や個人のIDを公表されてしまう。


駐輪禁止の場所に止めると監視カメラでAIが個人を特定し格付けに影響する。
その結果、違法駐輪は減った。


監視カメラによる格付けにより、政府へのデモ等国民の表現活動が萎縮する可能性もある。