何が「探究」なのか

探究と探究でないものを分かつものは?~這いまわる経験主義に陥らないための考察と整理

こちらのブログ、「探究とは何か」を考える上での材料がたくさん詰まっています。
是非、一読をおすすめします。
以下、ブログの内容に関する個人メモです。


●「アクティブではあるが探究的な要素がない」実践が存在する。「活動という手段が目的化された活動主義=這いまわる経験主義」。


●「這いまわる経験主義」を続けると教師は疲弊するが、「子どもの学びを可視化できず、結果として自分が何をやっているのか分からなる」と状態になり、心が折れてしまう。


探究のプロセスは「不安」から「安心」への移行(=「不確定な状況」から「確定的状況」への移行)(ジョン・デューイ『Logic: Theory of Inquiry』より)


※「学習者中心」に考えることが重要。つまり、「不安」なのは学習者自身であり、「安心」するのも学習者自身。教師からどう見えているか、ということは本質的には重要ではないのかもしれない。


「探究」とは何等かのサイクルを回すということ、起点から何らかの経験を経て、変化が起き、新しい状況へ到達するということではどの手法も共通している(基本形)


●基本形の要素
①不確定な状況
「仮説、問い、モヤモヤ」など、様々なものから始まりうる。
②追求・探索・試行錯誤・深める
③確定的状況
一旦の解、表現(発表会、プレゼンなど)
ちょっとスッキリ


これらはすべて全体としてある方向に向いている(=軸の設定)
概念、大きな問い、解決したい課題など


※個人的には「問いから始まる探究」を重視していますが、それは一つの「型」なので、このくらいの「柔らかい定義」があると共通理解をつくるやすくなるのでありがたい。


●4つの探究のレベル
1、確認としての探究(①~③まですべて教師主導)
2、構成された探究(③のみ学習者主導)
3、ガイドされた探究(②、③が学習者主導)
4、オープンな探究(①~③まですべて学習者主導)


●それぞれの探究の特徴
1、確認としての探究(①~③まですべて教師主導)
すでに示された手順を追う(教科書に基づく理科実験など)
「不確定な状況」から始まらないので、デューイのいう「探究」とは異なる。


※生物の「細胞の観察」を例にとると、「教師が細胞を準備し、どのようにプレパラートをつくるかを指示し、最終的に見えてほしいものや気付いてほしいポイントも明示されている」ようなイメージ。


2、構成された探究(③のみ学習者主導)
生徒が可能な限り探究のサイクルを自分で回せるように、教師は環境設定とファシリテーションに徹する。


※生物の「細胞の観察」を例にとると、「教師が細胞を準備し、どのようにプレパラートをつくるかを指示するが、最終的に見えてほしいものや気付いてほしいポイントは示さず、どんな結果を得てどんな解釈をして、自分なりの確定的状況に至ることができるかをゆだねる」ようなイメージ。


3、ガイドされた探究(②、③が学習者主導)
領域や軸は教師がある程度決めておくが、プロセスがオープンであり、子どもたちの興味によってダイナミックに探究が動いていく。
子どもの状況をしっかりと見取る観察力と軸の設定能力が求められる。


※生物の「細胞の観察」を例にとると、「教師が細胞が見られそうな材料をいくつか用意し、『様々な細胞の大きさや形を比較しよう』とうような『お題目』は与えるが、どのようにプレパラートをつくってどんな観察を行うかや、どんな結果を得てどんな解釈をして、自分なりの確定的状況に至ることができるかをゆだねる」ようなイメージ。


4、オープンな探究(①~③まですべて学習者主導)
これはそもそも子どもが興味を持った内容で、自ら問いや仮説を立て、活動を設計し、探究を深めていく。


※生物の「細胞の観察」を例にとると、「細胞という大きな枠組みで、自由にテーマ設定をして、自由に観察し、テーマに対する自分なりの解となりうる考察をしてもらうというようにほとんどをまかせる」ようなイメージ。


●「遊び」は「オープンな探究」である。


●構成的なものより非構成なものが優れているということではない。
教師が時と場合、自分自身の個性、子どもたちの様子を見ながら自由に選択できるようになることが重要。


※「自由度が高い=偉い、高尚」というわけではない。
個別の状況をしっかりと見取って、「他律から自律へ」という流れを段階的に踏むこともトレーニングとして重要だと感じる。


●探究の「土台」となる要素
基本学力、好奇心、自己肯定感、批判的思考力、コミュニケーション・コラボレーション能力、表現力など。


●探究の過程で身につく力
軸を設定する力
→問いを設定する能力、課題設定能力、概念を把握する力
より大きく重い車輪を回す力 
→レジリエンス、協働する力、仲間を巻き込む力
新たな車輪を設定し、学び続ける力
→一旦の解に辿りついた後、また新たな車輪に挑戦し学び続ける力


※「土台」と「身につく力」については、様々なところで強調されている内容とそれほど変わらない。つまり、「いつでも、どこでも、とても大切なこと」にあたるもの。