教員集団をよりよいチームにするために

ベネッセ主催の教員研修プログラムに11月から参加しています。
「未来の職員室」の構想、学校内で「50センチ革命」を起こす教員チームはどのように生まれ、自己増殖をするのか。
そんなテーマに興味を持ちました。
以下、これまでの研修からの学びのメモです。


●「50センチ革命」教員のフェーズ
Phase1:孤軍奮闘
Phase2:相互承認
Phase3:自己増殖
※多くの「面白い人」と話せば話すほど、恐ろしいほどに「孤軍奮闘」フェーズが共通であることに気付く。
だから、まずは「孤軍奮闘で苦しんでいる人たちがたくさんいる」ことを前提に、その人たちがつながり「相互承認」できる「場」を増やすことが重要。
僕の言葉では「変人ホイホイ」を増やす、ということ。


●教員集団を動かすために
内部から変えていくというのはものすごく難しい。
利害関係、プライドが邪魔をする。
外部の人間に同じことを指摘されると響きやすい。


組織として大きく動くということを待っていると、動き出しが遅れてしまう。
だから、ある程度「身銭を切ってでも進める」という覚悟。
急いで一つの事例をつくれたということが価値あること。
※様々な人から話を聞くと、学校には「スピード感」がないということをすごく感じる。
まずは「小さく始める」ということの重要性、つまり「見切り発車、大いにあり」というくらいでもよいのではないか。
というより、「まずはやってみる」ことからしか何も始まらない。


●教員が「成長」を欲するとき
困り感、危機感。
これはツールとしては使える。
※困り感というネガティブ要因の他に、単純に「もっと成長したい!」というポジティブ要因もある。
本当は、ポジティブ要因を高めるような「仕掛け」があるとよいはず(実際には「ツール」としてネガティブ要因を利用することが現実的なのかもしれないが)。


●担任至上主義について
「担任も、教科も、部活も、カウンセリングも・・・」というように、何でもできないとダメと言われてしまう。
でも、本当にそうか?
教科指導がすごくても、保護者対応が下手だと評価させなかったり、とか。
一人ひとりに専門性が必要だ。
ジェネラリストが求められてしまうが、いかに協働するかが大事。
スペシャリストが連携する仕組み。
そのあたりを議論しながら進めていった。
そして、どうやって教員同士で高めていくか、ということが大事。
※アメリカの高校では、教科指導以外のいわゆる「担任業務」は、他に担当職員がいた。
日本の「担任」というジェネラリスト(といっても幅広い専門性が要求されてしまう)は特殊なのだろうし、麹町中のような「クラス担任廃止」が一つの解決策なのだろう。


●教員間の関係性をよくするために
職員レクリエーションを増やすと、関係性が良くなかった。
できるだけ、「楽しい時間を一緒に多く過ごす」ということが重要。
結局、人間関係は「好き嫌い」もある。
楽しい時間を一緒にたくさん過ごせば、関係性がよくなる。


※初任校のとき、毎週のように飲み会があった環境は、この視点から言えばとても重要なことなのだと思う。
「楽しい時間を過ごす」ことが関係性をよくする、なんて当たり前のことだけれど、意外と教員集団にはないことかもしれない。
初任校の文化祭で、「教員オンステージ」を一緒にやったことなんかは、まさにこういうことなのだと思うし、そういう場の重要性をあらためて感じる。


●若手とベテランの壁を壊すために
「食べ物でつる」という突破口。
連れて行ったり、お菓子をあげたり。
※「菓子ニケーション」、めちゃめちゃ効果的だと思う。自分も、お菓子をもらえると嬉しかったし、その人との関係性を大切にしようと思えていた。


新しいことをベテランが若手に聞く。
若い先生と話した方が圧倒的に学びが多い。
50代はこのままいっても逃げ切れると思っている。
※若手に「自分から動け」ということも大事かもしれないが、まずは「ベテランから動く」でよいし、それが効果的なのだろうと思う。


●「やり方」より「在り方」
ある先生の経験談。
板書でやっていても、先輩教員に勝てない。
だから違うことを試してみた。
プロジェクタとかパソコンとかを試しに使ってみた。
すると、卒業生から、授業の内容そのものではなく、首傾げながらプロジェクタとかパソコンとかをやっている姿を見れたことがすごくよかったというコメント。
※これぞまさしく、「やり方」ではなく「在り方」。アインシュタインの「教育とは教わったことを全部忘れたあとに残っているもの」ということだと思う。


●教員研修より日常の対話
定期的な研修は単発で終わる。
本当の教員研修は、そうではない。
「面白いから聞いてよ」というところから始まる会話が面白い。
例えば、教科の専門性を学び合うために、最新の論文ではどんな研究が出ているかをお互いに話す(「面白いから聞いてよ」から始まる)。
※「面白いから聞いてよ」から始まる会話が日常にあふれていると、本当に楽しいし、自然と学ぶが広がり、深まる。
新宿山吹ではそんな時間が日々あった。あれは幸せな空間だった。
そんな空間を何度でもつくっていきたい。


●教員どうしの対話を生み出す工夫
生徒に聞いて「あの先生は面白い」という話を聞いたら、その先生のところにいって話を聞いてみる。
そこでの学びが得られるし、話している方も嫌な気持ちはしない。
さらに、話を聞きにいった相手からも、「ちなみに、先生はどんな授業されてるんですか?」と逆に聞かれ、自然に対話が深まっていくこともある。
※「まず自分が動く」ことでしか、ものごとは動かない。それを実践されているのがすごい。


●「楽しい」と思える瞬間をメタ認知する
自分自身が「楽しい!」と思える瞬間は何か?
それを考えるのが重要ではないか。
そうすれば、何が「楽しい」ことなのかがわかり、教員研修や対話の場のデザインに生かせるはず。
※自分のことを振り返ってみて、「楽しい!」と思える瞬間がうまく思い浮かべられなかった。
例えば、授業はいつも楽しいが、それは本当にここで表現したい「楽しい」なのか、納得感が薄い。
まずは、自分の「楽しい!」を実際のエピソードに基づいてメタ認知することが必要。