筑駒授業見学メモ

2018年11月9日
筑波大学附属駒場中学高校
宇田川先生授業見学メモ
「生態系とSDGsについて調べる」
中学3年生・グループでのプレゼンテーション


【全体の設計と今日の授業内容】
個人ワーク
→グループ形成
→グループワーク①プレゼンテーション(今日の授業)
→グループワーク②ポスター発表(次回の授業)


●個人ワーク
生態系と色々な問題のつながりを調べ、それを全員発表。
→それをもとにテーマ別に10班に分かれる。


●グループワークのテーマ
「僕たちの◯◯と、□□の意外な繋がり」
◯は身近なもの、□□は生態系や人間生活の危機


●調査内容
・実際に日本や世界で起こっている具体的な事例
・自分たちの生活や行動との繋がり
・どこの国や地域の、どのような生態系や人間活動が危機なのか?
・その問題の解決のために、自分にできることは何か?


●プレゼンテーション
1グループ4分
相互にコメントをつけ、良かったグループを1つ選ぶ。


【1クラス目メモ】
①マングローブとエビ養殖
②ベトナムコーヒー
③マグロの乱獲
ASCマーク
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/1773.html
④里山問題
⑤バナナとチョコレート
プランテーション問題
フェアトレード
⑥紙と木材


【2クラス目メモ】
①フードロス
フランスでの食品廃棄の法規制
個人では買いすぎない
https://m.huffingtonpost.jp/yuki-murohashi/france-supermarket_b_9183992.html
②違法伐採
合法木材の認証マーク
③チョコバナナ
④パーム油
RSPO認証油
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3520.html
⑤エビの養殖とマングローブ
防潮林としてのマングローブ
⑥プラスチックごみ
海洋のマイクロプラスチック
単に小さい粒子としての物理的な影響だけでなく、プラスチックに使用されている化学物質による化学的影響も大きい(環境ホルモンなど)。
海に流出すると回収は不可能。
⑦化石燃料
ダイベストメント
https://gofossilfree.org/ja/what-is-fossil-fuel-divestment/
環境に優しい銀行への投資


【感想など】
スライドの作成能力やプレゼン能力は、中学3年生にしてかなり高い。
ただし、実際のプレゼンには迫力がない。
当事者意識があまり感じられない(プレゼンが用意できていないグループも散見された)。
多くが「調べ学習」になってしまっている印象。
「調べ学習」から「探究」への転換には「自分の意見」の存在が重要。
最終的に「~するべき」というような意見までもっていくことを志向しているかどうか(「べき論」に落とさなければならないということではない)。
情報を集めて、それを何となくスライドで整理して提示しているものがほとんど。


また、最後に「自分ができること」まで落とし込んでいるプレゼンもあったが、SDGsで「~べき」にしようとすると、「当たり障りのない似たようなもの」になりがち。
それが「当事者意識」につながりにくく、プレゼンテーションに迫力がない原因になっている可能性。
それに対するアイデアとして・・・


①「~すべき」を、自分で実践してみる。
例えば、「使用する●●を減らすべき」というのであれば、一週間の生活の中で実際にどのような工夫でどのくらい減らせるのか、自分の生活で実証実験し、その結果をプレゼンするようにする。


②「企業などの特定のステークホルダー」に対して何かのアクションを起こす。
都立武蔵の山藤先生が実践されている活動のイメージ。
ある問題に関わるステークホルダーを書き出し、その解決のために具体的にどのステークホルダーにどのようなアクションを起こせそうかを考える。
その際、単なる机上の空論にならないために、過去の事例などをエビデンスとして提示できるとよいかもしれない。


という2点を考えてみた。
自分の授業でも、是非実践してみたいと思った。
授業見学をしながら、自分の授業実践のアイデアが膨らむ時間だった。


★授業を公開していただき、また終了後に対話していただいた宇田川先生に感謝いたします。
いい学びをいただきました。
ありがとうございました。