3階層でカリキュラムマネジメントを考える

カリキュラムマネジメントについて考えています。
まずはシンプルに以下のように3階層でとらえてみるのがいいのではないでしょうか。


①管理職レベル
②複数教員協働レベル
③一教員レベル


①は、学校として、どのような目的で、どのようなカリキュラムを3年間を通じて配置し、実際にどんな組織で運営していくかというレベル。
基本的には校長を中心に管理職が考え、決めていくことが多いと思います。
ここに、僕が「一教員」の立場で深く介入することはなかなか難しいです。


②は、イメージしやすいのは「教科科目横断型の授業」ではないでしょうか。
「誰か一人のカリキュラム」だけではなく、「どこで誰がどのように協働するか」ということを考え、複数のカリキュラムを関連付けて連動させていくような感じ。
これであれば、①のレベルとは違って、僕が「一教員」の立場でも、誰かに声をかけて協働すれば何か少しできそうです。


最後の③は、完全に「個人の授業デザイン」ということになります。
「そんなことは誰もが皆考えている」ような気もしますが、「カリキュラムマネジメント」の観点からいえば、「PDCAサイクルを回す」ことが重要なはずです。
PDCAサイクルを回していくためには、明確なビジョンが必要になります。
つまり、明確なビジョンをもち、それを具現化していくために、1年間の授業全体をどのようにデザインし、そこからさらに大単元レベル、小単元レベル、個別の授業レベルをどのようにデザインするかを考え抜く。
そして、そのプランに従って実際に実施をし、その状況を的確に見取り、ビジョンと照らし合わせて適切に改善を図っていく、ということです。
このような「カリキュラムマネジメント」は、なかなか実現していないように思います。
でも、これは、確実に「一教員」の立場で、今すぐにでもアプローチできるものです。


本当は、以下に示すような流れになるべきだと思います。
①レベルのことを、管理職だけでなく皆でデザインし、教員集団がビジョンを共有する。
それに基づいて、個々の教員が自分の「理念・方針」から「方法」を熟考し、③レベルのカリキュラムをデザインする。
また、その際に、複数教員でカリキュラムを持ち寄って共有し、「関連付け」を意識しながら対話し、自然な形でカリキュラムをつなげていく②レベルのデザインが生まれる。
この一連の流れの中で地域など、外部とどのように連携し、その良さを生かしていけるかを考え、カリキュラムにさらなる広がりと深まりをもたらすこともできる。
そして、年間に何度か、当初のビジョンと現状を比較し、どのように改善していけばよいかを考える「場」をもち、カリキュラムがどんどん良いものになっていく。
本来は、こんな風に「カリキュラムマネジメント」が進んでいくとよいのだと思います。


現実には、なかなかそのようにはなっていません。
しかし、大事なことは、自分が「一教員」としてできることが、けっこうたくさんあることに気付き、「自分発信」で何かを始め、何かを少しでも進めていくことです。
カリキュラムマネジメントなんて言葉を使う必要もなければ、難しい言葉を並べて「それっぽい」議論を組み立てる必要もないはずです。
一番の肝は、「どんなビジョンに基づいて教育活動を行っていくのか」ということです。
だからこそ、僕はTPチャートというツールに可能性を感じているのです。


まずは、③をしっかり考え抜くことから始めるしかないと思います。
それを広げていくだけで、かなり大きく事態は動くだろうとも思っています。


※ちなみに、文科省は2016年12月の答申で「カリキュラムマネジメントの3つの側面」についてまとめています。
①各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校教育目標を踏まえた教科等横断的な視点で、その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。
②教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ 等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること。
③教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること。