概念の理解と用語の暗記

3年生のセンター試験対策の講座(生物基礎)があります。
過去のセンター試験を分析すると、用語の暗記に関する出題が多いことがわかります。
そうであるならば、狙われそうな「用語」をどんどん解説していくような講義をすれば点数が出るように思えます。
しかし、僕はそうしません。
授業では、「概念を理解する」ことに軸足を置き、講義は中心概念のみを短時間でするだけです。
また、生徒がとりくむワークシートも、概念を説明させる課題がほとんどで、「用語」については「確認しておきたい用語」と羅列してあるだけです。
この学習方法は、かけた時間のわりには「用語の暗記」に直接つながるわけではないので、即効性は低いかもしれません。
しかし、「概念の理解」があれば、例えば直前1か月でも、用語の暗記は何とかなってしまいます。
逆は厳しいです。
「概念の理解」がなく「用語の暗記」だけするのは、そもそも時間がかかりますし、忘れやすくもなります。
何より、すこしひねっただけの問題にも対応できなくなってしまいます。
だから、「まずは概念の理解」なのだと思います。


1年生の考査は、前半の「基本問題」と後半「発展問題」に分かれており、それぞれの点数も分析し、自分の課題がどちらにあるのかも思考の材料としてもらいました。
今回多くの生徒たちは、「基本問題は何とかなっているけれど、発展問題がとれない。どうやったらこういうのを解けるようになるの?」と発展で高得点の生徒にヒアリングしていました。
その答えとしては、「プリントの発展問題までやる」「問題集の発展問題までやる」というものがありました。
ただ、僕の感覚では、前提として「授業中にしっかりと頭を使えている」ことがあると思います。
おそらくそこで「基本的な概念」をつかめているのでしょう。


ただ、「基本的な概念」がしっかりと入っていないと発展的な思考はできないかと言えばそうでもないと思います。
今回、「基本」と「発展」のうち、「発展」で最高得点をとった生徒は、「基本」があまりできていませんでした。
おそらく、「考えること」が得意なのだと思います。
このような生徒は「積み上げ式」の学習ではなく、「まずは考えてみて、必要に応じて知識を取りに行く」ような学習が向いていると思います。
「基本的な概念の習得→発展的な思考」という順序性も、きっとないのだと思います。


こういうことを考えると、「個別最適化」の学習が求められるということがよくわかります。
「暗記」ではなく「概念の理解」を中心に基本設計をし、でも順序性も柔軟になるようなプログラムが必要だと感じます。