「人生を面白くする本物の教養』読書メモ

しばらく前に購入し読了していましたが、今日の出口先生の講演会に合わせて、再読しました。
「教養」というものの捉え方や、「タテ・ヨコ・算数」の重要性、「数字・ファクト・ロジック」の重要性、「人・本・旅」が人の成長に重要な理由など、「出口流の思考と生き方の作法」が凝縮しています。


先日、ある卒業生に推薦したところ、「すごい本でした。すごい影響受けました」と言っていました。
早いうちに知っておくべき「作法」だと思います。


読書メモ
★は雑感


p15
教養とは知識の量の問題ではなく生き方の問題である。


p20
教養とは、「人生におけるワクワクすること、面白いことや、楽しいことを増やすためのツール」である。
教養を高めれば人生をもっとエンジョイできる。


★「教養」というと堅苦しいイメージがあるけれど、「人生をより楽しむための色々」と考えれば、たしかにその通りだと思いました。


p21
知識は手段、教養が目的


知識はその人の興味の範囲を広げてくれる(教養化した知識)。
例)サッカーを知らなければテレビでワールドカップを放映していても面白くもなんともないがサッカーを知っていれば最高の時間になる。


★音楽について、あるいは生物学について、まったく同じことを思っていました。


p22
「自分の頭で考えられる」ことが教養


p25
人の話を聞いてすぐに「わかった」と思わない。心の底から「わかった」と思えない間は、「そういう考え方もあるのだな」という状態で保留扱いにしておく。否定もしない。「腑に落ちる」まで自分の頭で考えぬく。


★「とりあえず保留」という作法も大事だと思いました。生徒には、「全てを疑っていたらどうしていいかわからない」という意見をもらったことがありましたが、「腹落ちするまで保留」とすれば少し気分も軽くなるのだろうと思いました。


p26
すっきりしない情報をあちらこちらから収集し、自分の頭の中で検証し、本当に納得することが「自分の頭で考える」ということ。


安易な妥協はせずに探究を続けることが大切。探究を続けるうちにあるところで本当に「腑に落ちる」という感覚が得られるはず。


人間が意欲的、主体的に行動するためには「腑に落ちている」ことが必須。


★腑に落ちていれば必ず主体的になるわけではないですが、重要な要素であることは間違いありません。


「どちらとも言えない」を選んでしまうのは、ほとんどの場合「考え不足」が原因。本当はその問題の表面から向き合って十分考えていなかったり、手持ちの情報が少なかったりするのが原因なのに、「それは難しい問題だから」と理由を置き換えて自分をごまかしている。
例)TPPに賛成か?


p28
日本人の教養不足の一因は、このような「手抜き」にある。わずかな努力を惜しんで、お手軽な「答え」乗っかろうとする風潮が強すぎる。
むしろしつこく考える人は嫌われる雰囲気さえある。


★思わずドキッとしてしまう記述です。様々な問題に対して、自分の意見を明確にできないのは、まさに「考え不足」が原因です。
この意味においての教養はまだまだまったく足りていません。


p37
様々なことを知っていて、自分の考えを刺激してくれて、新しい話題に引き込む力のある人が「面白い」人である。


★この意味において、全ての人は何らかの「面白さ」持っているのだろうというのが僕の感覚です。


p38
引き出しの多さに加えて「広く、ある程度深い知識」があることが必要。


p41
「ボキャブラリー」があって「広く、ある程度深い知識」を持っていることに加えて「自分の意見」を持っていることが決定的に重要。
日本では知識自体は豊富でも自分の意見を言えない人がたくさんいる。


★「知識」と「思考のパターン」は考えるための両輪なのですね。


p51
戦後日本の復興への道のりは、アメリカと言うゴールが誰の目にもはっきりと見えている、いわば「ルートの見えている登山」だった。
ルートが見えているという事は、どこをどうやって登れば良いかが分かっているということ。新たに自分の頭で考える必要はほとんどない。余計なことを考えて遠回りでもしていたらむしろロスが発生する。戦後の日本は自分の頭で考えることを必要としない、もっと言えば、自分の頭で考えないほうが都合が良い社会だった。


★「ルートの見えている登山」という表現は、とてもわかりやすいです。
「ルートのわからない、頂上もどこにあるかわからない登山」を不安に思うか、楽しく思うか、それがこれからの大問題です。


p52
具体的な目標と基本のあるキャッチアップモデルは楽。


p61
今日の自分が1番若い。
「もう手遅れだ」と思うくらいなら、今夜から読み始めればいいだけのこと。
今さらもう遅すぎると努力を放棄する人は、サボる理由を探しているだけ。


p63
物事を考えるコツの第一は「タテ」と「ヨコ」で考えると言う事。
「タテ」は時間軸、歴史軸、「ヨコ」は空間軸、世界軸。


p64
「タテ」の発想で先人が繰り返した試行錯誤から学び、「ヨコ」の発想で世界の人々の考えや実践を学ぶ事は大きなヒントになる。


物事を考えるコツの第二は「国語ではなく算数で」考えるという視点。
要するに定性的な発想だけではなく定量的に物事を考えてみるということ。


p66
「国語ではなく算数で」考えるということは「数字・ファクト・ロジック」で考える、と言い換えることができる。


★この思考パターンは、この半年意識していますが、ものすごく強力です。


p70
「木を見て森を見ず」という諺がある。一般に「森」の議論はシンプルなもの。細かくややこしくなるのは「木」や「枝葉」の話に終始するから。


p71
物事の本質をシンプルにとらえるにあたっては「何かに例えて考える」と案外有効な場合がある。


★学習地図で、「関連付け」「幹と枝」「例え」を重点項目にしていますが、そこに通じる話だと思いましたし、自分の実践もいいところを突いているのではないかと嬉しくなりました。


p75
「常識を疑う」ことは常に必要。


★これがなかなか難しいのですが、基本は「全てを疑え」です。


p80
考える力があれば、普通に入手できる情報でも、それらを分析するだけで、これまで見えていなかった世界が見えてくる。それが教養の力であり、知の力。


★「四人はなぜ死んだのか」の事例を思い出します。知識をどう組み合わせてつなげていくかが重要です。


p88
身近な人を目標にすると努力が続く。


p89
他人を巻き込んで自分のやる気を引き出す。


★この要素は、たしかにやる気を維持する上ではものすごく重要だと経験則から思います。


p96
様々な本を読み、様々な人に出会い、様々な場所を旅すると、世界にはこれほど素晴らしいところがあり、こんなにも素晴らしい人がいるのかと、その広さと豊かさを改めて実感する。同時に自分の小ささや幼さがよくわかる。「本・人・旅」は、常に自分の身の丈を思い知らせ、謙虚であらねばと思わせてくれる。


★「自分の小ささ」を感じる機会は定期的に必要です。同時に、「自分を認めてあげる機会」も定期的に必要です。


p110
古典は無条件で優れている。
人智・年月の淘汰に耐えて生き残ったもの、人類の経験知の集積として評価されているものが古典。さしあたって読む本が見つからない場合は、まず古典を読む。


★今までいかに「古典」を読んでこなかったか、恥ずかしい限りですが、「新しい古典」のようなものくらいは少しは吸収していたいです。


p129
人間関係を人脈としか考えていない人は、そもそも自分もそのようにしか見られていない。
利害でつながった関係は、所詮、利害が切れたらそれでお終い。


★「脈うたない人脈は価値がない」ということだと思います。


p133
人生の理想は「責務ミニマム、面白いことマキシマム」


★このことを「面白いことしよう!」と生徒に訴えています。


p136
人間が将来に備える唯一の方法は歴史に学ぶこと。


p144
教養とは人生を面白くするツールでありまさに旅がそう。何かが得られたとしても、それはあくまでも結果としてであって、旅をしているときはひたすら楽しむ。その意味で、旅こそ最高の遊びにしても楽しい教養の源と言えるかもしれない。


p158
本を読む人の話を聞くだけではわからないことがある。
旅の最大の効用は「百聞は一見にしかず」にある。
旅人本は互いに補完関係にある。うまく「本・人・旅」を組み合わせて、人生を良き思い出で満たす。人生の楽しみは喜怒哀楽の総量にある。


★人生の楽しみは「幸福の総量」ではなく「喜怒哀楽の総量」というところに深みを感じます。


p247
人間の能力はみんなどっこいどっこい、チョボチョボ。
だから、現実に仕事をする上では能力の違いよりもやる気の問題の方が大きい。
少人数の組織にすれば、みんなが精鋭になる。


p248
少数が精鋭をつくる。


★「エコノミー」と「エコロジー」の話だと思います。
「エコロジー」の視点で考えれば、このような発想になると思います。