探究的な酵素実験(アオキの死環)

酵素の性質に関する生徒実験として、カタラーゼを考えていました。
しかし、自分の中でしっくり来ていませんでした。
そこで、以前山本先生や住吉先生に教えていただいた「タラヨウの死環」の実験を思い出し、それを探究的に実施できないか考えてみました。
そうして作成したのが画像の内容です。

最初に、「目的」については以下のような感じでしっかりと確認しました。


”今回の実験について、「正解」は確かにあります。
しかし、大切なことは「正解」にたどり着くことではありません。
今日は「課題研究」の練習としてこの実験を行います。
課題研究で皆が苦労するのは、「問いを立てる(テーマ決め)」ところと、「具体的な実験を考える」ところです。
この両者には、皆のオリジナリティが要求されます。
今日は、テーマはこちらから与えてしまいます。
ですが、実験の方法等は皆で考えてください。
考えた実験をやってみて、そこから自分たちなりに考察し、深めていくことができれば、それでOKです。
繰り返しますが、「正解」であるかないかはどうでもよいことです。
いわゆる「正解」については、後ほど共有しますので、そこは安心してもらってよいですが、まずは自分たちで色々と考え、試してみてください。
また、「実験をする前にじっくり考える」ことも大事ですが、「まずはやってみて、出た結果から考える」ことも大事です。
同じ時間があれば、じっくり考えて1回の実験をするよりも、とにかく3回実験してみることでうまくいくかもしれません。”


目的の確認の後は、このプリントにある指示だけをして、あとは生徒に自由に実験をやってもらいました。
初めての試みだったので、様子を見ながらサポートしようと思っていましたが、生徒はどんどん実験を進めてくれました。


途中、以下の3つの問いを投げかけました。
・2重死環はつくれるか?
・「死環」をお湯に入れると・・・?
・葉を傷つけると・・・?


これだけで、生徒は実験し、議論し、考察を深めていっていました。
実際、参考にした元の実験プリントに書かれていた実験は、ほぼ生徒が自力で考えて実行できていました。
授業の最後には「解説」を入れましたが、最初に確認した「目的」から、「正解」にたどりつかなかった生徒も、自分たちなりに考察できたことをポジティブに受け止めているようでした。
「普段の実験をどう探究的にするか?」「課題研究のためのトレーニングとしてどのような活動が有効か?」ということについても、自分としては前進した気持ちです。
久しぶりに、授業が終わってから、じんわりと浸れるような達成感、充実感がありました。


来週火曜日に、同様の実験を行いますので、もしご興味ある方は見学にお越しください。
また、葉の写真の画像は、予備実験で得られた結果です。それぞれがどのような状況からこうなったのか是非考察してみてください。

以下、生徒の感想からの抜粋です。


●先生からヒントを与えてもらいながらも自分の頭で少しずつ考えていけたと思えた。
●何もないところから実験して見つけたりすることが楽しかった。
●疑問が解決してもすぐ別の疑問が生まれていつまでも解決しないのが疲れたけど楽しかった。
●今日みたいにたくさん考えて意見を交換するととても身に付く。
●正しい答えまで行くのが辛かった。お湯の使い方が浮かばなかった。でもまず実験してみてもいいと思ったので、迷った時こそ動いていこうと思う。
●考えるほどに疑問が深まってきて大変だったけど面白かった。深く考える習慣をつけてみたいと思う。
●普通黒くなっているところが死んでいて緑のところが生きていると言う偏見にとらわれていて考察、仮説が遅々として進まなかったがある班員が正解に似た意見を出してくれたため様々な思考ができた。今後自分も常識にとらわれないようにしたい。
●今回のは今までで1番考察が進み楽しかった。今回のような話し合いを行えると理解がすごく深まる。
●黒くなったことを酵素が失活したと決めつけるのではなく何かの生成物と仮定することによってすべてに整理がついてとても面白かった。見方を変えるのはとても大切だと思った。
●はじめに行った実験から生まれた疑問を解決するために班で話し合い、解決するための実験が多くできたと思います。考察は実際の正しいものと違いましたが筋を立てて考えられたと思います。
●班員と話し合いを通して新しい考え方や見方が思い浮かんだ。いろいろな実験方法を比較することで理由がわかった。
●班で話し合い意見を出し合いながら自分たちの仮説、考察がだんだんと成立していくのがとても面白かった(間違っていたが)。行った実験の種類と回数はすべての班の中でも多い方だと思う。
●実際に考えた実験ができたのがよかった。
●見方を変えると新たに発見できることがある。
●自分たちで実験して見つけたりするのが楽しかった。