壁と山の違い

僕が、生徒に対して「壁」になることを意識していると書いたことに対して、田畑さんから、「壁」よりも「山」になってほしいとコメントをいただきました。
違いはどこにあるか質問させていただいたところ、その意味を、田畑さんは以下のように説明されました。


"「壁」は乗り越えるもの
「山」は挑戦するもの


あと大きさ、高さ
そして
克服した時に見える景色の違い"


このコメントを受けて、イメージが広がりました。
「壁」は、単なる物理的な障壁です。
それが行く手を阻んでいるとしたら、「あると邪魔なだけのもの」になってしまいます。
そして、それを乗り越えること自体の意味というよりは、実際に乗り越えられたかどうかという結果が重視されます。
壁を乗り越える前後での自分の成長にも気づきにくく、また、もし壁を超えられなかったら、それは単にネガティブな失敗体験になってしまうことでしょう。


「山」は、仮に行く手を阻んでいたとしても「壁」とはかなり意味合いが違います。
山を越えていくプロセスには、多くの発見や気付きがあり、そのこと自体を楽しめそうです。
もし山の頂上までいけたら素敵な景色も見ることができます。
もし頂上まで行けなかったり、山を越えることができなかったとしても、自分が取り組んだなりの経験値がしっかりとたまるはずです。
また、どうしても山を登る気持ちが起きなければ、少し遠回りにはなるかもしれませんが、迂回して向こう側にいくという選択肢もあるでしょう。


何より、山には「登ってみたい!」というワクワク感があるのに対し、壁は「面倒くさいけど、これを乗り越えないとなぁ・・・」という義務感が主になるイメージがあります。
「できない」ということに対しての不安感と「やってやろう!」という前向きな挑戦の気持ちの比率が全く違うように思います。


生徒との関わりで、単にネガティブな印象だけを残してしまうのは、「壁」としての関わりをして、それを乗り越えられなかった時にどんな声かけをするかの対応がまずいということだと思います。
逆に、「山」としての関わりであれば、プロセスも結果も含めて前向きな振り返りにつなげることができそうです。


これまでの僕の経験から考えてみると、「壁」としての関わりが必要な場面もあるように思います(その場合には、結果が出た後の関わり方も重要です)。
ですが、積極的に「山」としての関わりを考えた方がよい場面もたくさんあります。


目の前の生徒がどんな状況にあるか、そして、今行なっている活動の目的は何か。
そこを整理した上で、自分が「壁」として関わるのがよいのか、「山」として関わるのがよいのかをしっかり考えることが大切に思えます。