松浦先生最終講義

首都大学東京の松浦先生の最終講義に行きました。

松浦先生は、学生からの質問だけで進行する講義スタイルを取っています。
最終講義も、そのスタイルでした。
質問は途切れることなく、松浦先生は「皆さんのお陰で、いつもの雰囲気にできたかなと思います」と満足そうに話され、最後まで普段着の講義を意識されていたように思います。

この場にいることができて、本当に良かったと思える、素晴らしい最終講義でした。

心に残った内容を共有いたします。
(★は僕の雑感です)

●生徒主体の教育の「トライ&エラー」の「エラー」は?

最初は「質問できなきゃダメ」としていた。
すると、教室の雰囲気が悪くなってしまった。
ある時、「教室の雰囲気はものすごく大事」という話を聞いた。
そこから、「しないとよくない」から、「できたらいいね」にした
そうすると、質問が途切れなくなった。

★「できなきゃダメ」と追い込むのではなく「できたらいいね」と励ます。色々な場面が思い浮かんでしまい、反省しきりです。

●英語課程の成果は?
※首都大学には学部一年から英語で学べるコースがあります。

英語課程の学生は、伸びるけれど、それまで時間がかかる。
その間に、様々な批判がある。
色々な意見があるが、自分自身は、どんな英語レベルでも受け入れるという方針を持っていた。
全然英語が聞けないレベルからだと、聞けるようになるために1年半かかる。
それを「無駄」と思うかどうか。
それは、実は全然無駄じゃない。
その価値を認めるかどうか。

★「成果」をいつ求めるか、なぜ求めるか。「失敗」の価値をどこまで認めるか。そういう基本的な価値観の違いで「良い方法」は変わってしまいます。僕は、松浦先生の考え方がいいなぁと思います。

●色々なフィールドでコンスタントに成果を出すには?

やりたいことをやらない、できることをやる。
言いたいことを言わない。できたデータから言えることを言う。

学生はやりたいことをやりすぎ。
言いたいことを言いたすぎ。

●学生を育てるのに大事なことは?
最初は言う通りやらせておいて、そのあと「自分で動け」というのは無理。
学部・修士では言われたことをやらせて、博士から自分で考えろというのは無理。
学部・修士でも、我慢して、博士と同じメッセージを発し続ける。
最初から自分で考えさせる。
それでようやく、修士か博士で自分で動けるようになる。

★これも英語コースの議論と同じ。「成果」と「失敗」をどう捉えているか。大学の教育機関としての役割を考えれば「人生レベル」の視座で進めてほしいと思います。

●最後のメッセージ
ひょっこりひょうたん島のテーマ曲の歌詞をふと思い出してしまった。
なんで最後にこれを思い出したか。
この歌詞には「目的」がない。
その時、ただただ楽しんでいけばいい。
それがとってもいいと思った。
夢は持っていた方がいい。
でも、日々それに向かって何かしていたわけではない。
日々、目の前にあることを一生懸命やっていた。
そうすると、チャンスはやってくる。