モンスタースタディ番組メモ

フランケンシュタインの誘惑「モンスタースタディ」

孤児院の子どもを使って「吃音にする」という実験を行ったウェンデル・ジョンソンという心理学者がいた。

診断起因説
親が子供にネガティブな評価をすると子供が反応し吃音になる可能性がある。

この説は新しかったが、当時は吃音は脳に原因があると考えられていたため相手にされなかった。
そこで孤児院で実験的にこれを証明しようとした。

吃音だと意識させることで子供を吃音にすることができたら自分の説が正しいと証明できる、という発想。

吃音のある子供12人と吃音のない子供12人を実験対象として選んだ。
それぞれの半分にはポジティブな評価を残りの半分にはネガティブな評価を与えた。
ジョンソンにとって、吃音なしの子供にネガティブな評価を与え続けたときに吃音になるかどうかが重要であった。

しかし、3ヶ月の実験終了後、吃音であると言う診断はなされず、思ったような結果が出なかった。
診断起因説は否定された。
しかしその後も自分の理論に固執し実験結果の方が間違っていると思い込んでいた。

ナチスの行った人体実験の事実が明るみに出ると、人体実験に関わったと言う事実が表に出ないように、論文そのものを封印してしまった。
その後も診断起因説に固執した論文や著書を出し続け、数十年にわたり診断起因説は時代を席巻した。

理論負荷性
「理論が観察に影響を及ぼす」という科学哲学上の考え方

実験から60年以上たった2001年に論文が明るみに出た。
その後裁判があり、被験者たちには賠償金が支払われた。
吃音には実際にはならなかったが、吃音になったと思い込むことで社会から隠れた生活しか送れなくなった被験者もいた。

1972年、アメリカ心理学会が「人間の参加者を伴う研究行為における倫理綱領」を策定
研究者は被験者の参加意志に影響を与えることが予想される研究の全ての事柄を被験者に知らせる必要がある。