語りよりも在り方

ある方から、「進学校でどのように『一人も見捨てない』を語っているか教えてください」という質問をいただきました。
こんな回答をしました。

僕は、授業で「一人も見捨てない」という語りはしていませんし、それを要求することもしていません。
同じ方向性で「誰もが生きやすい社会」を大切にしていることは伝えていますが、要求はしていません。

『学び合い』の肝は、こういったことを実際に語ったり、要求したりすることではなく、その方向性を目指して、実態に合わせて実践をつくりあげていくことだと思います。
語ったり求めたりすることが強くなりすぎると、生徒が拒否反応を示すこともあります。
逆に、語ったり求めたりしない方が、結果としてその方向性に向くということもあると思っています。

ですから、「やり方(doing)」より「在り方(being)」ということになると思うのです。
実際にそれを語ったり求めたりすることよりも、教員自身の理念を大切にした在り方が重要だと思っています。

実際の授業実践の中では、例えば試験後の振り返りの時間や、それに基づく「クラス会議」の場面で、「自分だけがよければいい、というのではなく、皆でハッピーになれることを考えて話し合いを進めて欲しいです」という語りは入れています。
でも、普段の毎時間の授業で語るということはしていません。
それがいいか悪いかは、様々な立場があると思いますが、僕自身は、今はこの考え方とやり方です。