日本生物教育学会第102回全国大会熊本大会メモ

日本生物教育学会第102回全国大会熊本大会メモ

 

口頭発表で聞いた素晴らしい課題研究事例とシンポジウムについて紹介いたします(伊藤先生より許可をいただいております)。

【ユリの花粉管誘導】
伊藤政夫先生(名古屋市立向陽高校)

なぜ柱頭が花粉を誘導するのか?
学校の課題研究としてテーマ設定した。

雌しべの各部で花粉管の誘因作用の有無を調べた。
→柱頭や花柱の上部が強い誘因作用を示した。

柱頭のどこが誘因するのか?
内壁と外壁に分けて実験。
→内壁が誘因作用を示した。

柱頭粘液には誘因作用はないが、伸長促進効果は見られた。

胚珠に誘因作用はあるか?
→弱いながらも誘因作用があることがわかった。

★ここまでのデータから、「花粉管誘導」に関してどのような仕組みが推論できるか?
★この後、どのように研究を発展させていくとよいか?

 

【シンポジウム「生物教育の学びを再考する」
メモ

●司会
森本弘一(奈良教育大学)
●シンポジスト
藤枝秀樹(文部科学省教科調査官)
向平和(愛媛大学)
溝上広樹(熊本県立熊本北高校)
井上一平(有田市立西有田中学校)
松山明道(熊本大学付属小学校)学びの姿

【井上先生】
●安心できる学習集団を育てる
すべての大前提
「仲間の約束」を定め、学校全部の教育活動で遵守。
「ちくちく言葉」と「ふわふわ言葉」の指導の徹底。

●脳をアクティブに
集中すると、「おでこが近くなる」
脳をアクティブにする方法は、体や言葉を使うこと

●セキツイ動物の特徴を見つける授業
単に写真を提示するのではなく、ICTの活用で、タブレットでPDFを見る。
生徒は、見たいところを拡大したりして、対話が活発になった。

さらに、360度見れることや、動画なども「自分で」一時停止や巻き戻しができることが重要。

●「三段論法」を、ワークシートに組み込んだ。

【溝上先生】
●1枚ポートフォリオ
診断的評価、形勢的評価、総括的評価が1枚のシートになっている。

●足場掛けとしてのルーブリック

●動機付けで看図アプローチ

●KP法で焦点を絞った解説

●「評価」は人を伸ばすためのもの。これからは「形成的評価」を。

【向先生】
●教員養成に襲い掛かる改革の波
中教審答申にある「教員養成」に関する改革
教科よりも教職・管理に関しての対応が必要に
愛媛大学でも、教員数が削減されている。この先、もっと削減されるかも。

●えひめサイエンスリーダースキルアッププログラム
課題研究が指導できる教員の養成(プロフェッショナルコースの参加者は「指導」も行う)

えひめサイエンスリーダーのWebサポートシステムの構築