2017年を振り返る

今年も色々なことがありました。
簡単に振り返りたいと思います。

●教師教育からTPチャートへ
武蔵大学の武田信子先生主催の教師教育勉強会をきっかけに、東京大学の栗田先生、吉田先生をアドバイザーにお迎えして4月に立ち上げた勉強会。
授業実践協働改善プロジェクト、略してJ2K2として、4月から隔週で8回にわたり実施。
2回目が終わった時点で「TPチャート」の作成会を打診され、3回目に公開の形で東大本郷にてTPチャート作成会が開催されました。
そこでTPチャートと出会って、「これは教育実践の改善のために強力なツールになる」と確信し、自分で作成会を開いたり、声をかけていただいた会で紹介させていただいたりしました。
先日の『学び合い』仙南の会で7回目となりました。
さらに広げるために、来年もワークショップを継続実施します。
また、TPチャートを紹介する書籍も出版される予定です。

以前から思っていた「やり方より在り方」、「何をするにも目的が大切」、「mustやshouldよりcanやwant」と言ったものと具体的な教育実践改善を結びつけるツールだと思います。
そして、これが次期学習指導要領からの大きな変化の流れの中で、教員の大きな力となると思いますし、この発想が広がっていけば教員研修も大きく変わっていけると思います。
今年、このツールに出会えて、栗田先生、吉田先生にご教授いただきながら理解を深めることができたことは、大きな出来事でした。

●高校生と社会人との交流会
大学生と社会人の交流会に刺激を受け、同じフォーマットで、高校生と社会人の交流会ができないかと以前から思っていました。
しかし、「社会人」の人脈がなく、実現できずにいました。
その課題を、オプンラボの小林さんが解決してくれました。
3月に、「近未来ハイスクール」として、オプンラボ主催で国立高校を会場に高校生と社会人の交流会が実現しました。
小林さんの「変人」ネットワークにより、豪華なメンバーが集結しました。
学生さんも大人も、参加者全員が笑顔になれた、素敵な場でした。
「こういう場をずっと作りたかったんだなぁ・・・」と噛みしめました。

その後、オプンラボの小林さんは「近未来ハイスクール」の活動をさらに活発にされています。
来年は、僕も僕の出来る範囲でまた新たな試みをしていこうと思います。

●授業改善の取り組み
授業も、改善のためにいくつか大きな変更を行いました。

課題研究は、1年間で2回実施するように変えました。
振り返りから、次の改善につながることを期待しています。
また、研究論文を読む活動、一人1テーマ考えて全員がプレゼンなど、「思考の練習」の課題も新たに始めました。
また、昨年の課題研究のグループで1グループ継続研究をしています。
これも、働きかけて初めて実現したことで、とても嬉しい出来事でした。

通常授業では、1年生の生物基礎のプリントを大幅に改変し、「ヒトの生物学」を導入しました。
また、「振り返りシート」の内容を改変するとともに、昨年よりもしっかりと見るようにしました。

また、大きなところでは、単元の授業計画や授業の時間の使い方、教員に期待する役割などを生徒が決めるクラス会議を試してみました。
やってみて、課題は色々ありますが、授業の主体を教員から生徒に移行していく方法として検討するに値する方法だと感じました。
来年、さらに改善していきたいと思います。

日生教と生物教育学会では、「探究活動」と「学習地図」に関して口頭発表しました。
「広げる」ことも戦力的にやっていければと思っています。

自分が「やりたい」と思って授業も少しずつ変えていますが、これがどんな理念や方針と紐付いているのか、この1ヶ月でさらに整理されてきたところがあります。
来年の早い時期にTP本体を書き上げたいと考えています。

●自主ゼミの試み
昼休みや放課後に希望者を対象に「自主ゼミ」ができないかと生徒に働きかけ始めました。
昨年視察させていただいた堀川高校の実践に刺激を受け、今年に入って山藤先生の活躍ぶりにさらに刺激を受け、「やってみよう!」と思い立ちました。
授業で160人に呼びかけて、強い反応があったのは数名。
でも、ゼロではなかったのです。
いいと思ったことは、まずはやってみる。
「ギターは弾かなきゃ音は出ない」のです。
来年は、具体的な活動としていくつか成立できるように動きます。

●「つながる場」の提供
都生研の活動としては、3つの研修会を企画運営しました。
立教大学の吉澤先生が講師の「アリの研修会」、首都大学東京の福田先生が講師の「探究活動で大切にしたいこと」、横浜国立大学の鶴見先生が講師の「人工知能入門」。
このうち、アリと人工知能は高校生の参加も可能とし、かつ学校を超えた交流ができるようなグループワークを設定しました。
これまでの研修会は教員向けのものがほとんどで、高校生が参加できるものも、「講演会を聞く」というようなものが多かったように思います。

そこで、今年は積極的に「つながる場としての研修会」を企画しようと意識しました。
昨年度末に開催した「会社の課題を解決する」という研修会も1つの大きなきっかけでした。
どちらの研修会も、参加してくれた高校生はとても楽しそうで、対話を通じて様々な気付きを得たり、お互い刺激しあっているようでした。
引き続き、来年も「つながる場」を提供できるような企画を考えていきます。

●教員宿泊研修会からの学び
3月に福岡県の高校生物のPBL合宿に、8月には茨城県の高校生物の合宿研修に参加させていただきました。
いずれも、多くの方と想いと尽力があって実現している、ものすごく素敵な「場」でした。
東京でも、こんな合宿をしてみたいなぁと思いましたし、多くの刺激とアイデアをいただいた経験になりました。

●出張授業の経験
2月に鳥取県立米子東高校、6月に都立墨田川高校で授業をさせていただきました。
飛び込み授業は、アイスブレイクをしっかりしないとなかなかほぐれなかったり、対話的な学びに不慣れな生徒への対応が難しかったり、色々と頭を使うの場面も多かったですが、本当に本当にいい経験になりました。
僕自身が多くの気付きと学びを得ることができました。
来年も、もし可能であれば出張授業をどこかでやりたいなぁと思います。

●共著の書籍発刊
西川先生からお声かけいただき、学陽書房の山本さん編集で、九段中等教育の菊池先生と共著で書籍が発刊されました。
内容は、「考え方」より「やり方」中心なので、あまり強く勧めにくいのですが、誰かの何かの助けになればと思っています。
現時点では、最後の「探究活動」の章の内容は多くの方にまずは知ってもらい、できることならば広げていきたいなぁと思っています。

●ヒトの生物学
RIMSEでの連載は、脳科学で3本書きました。
生物関連の学びとしては、今年は脳科学が主なものでした。
自分で書いた原稿をとりあえずの資料として、脳科学の広がりや、ヒトの生物学の広がりに貢献していきたいと思います。

また、師匠の松田先生からお声かけいただき、台湾の高校生物教科書の翻訳本に授業実践に関する寄稿をしました。
6月には、日本遺伝カウンセリング学会のシンポジウムでも発表させていただきました。
「ヒトの生物学」は、自分の継続的な取り組みとして大切にしていきます。

●大学との接点
8月に、東京農工大学の理科教育法に1日だけ講師として参加しました。
とても楽しい1日でした。

11月には、立命館アジア太平洋大学の見学に伺い、様々なヒントをいただきました。
このつながりを生かした何らかのイベントを考えています。

5月には、武蔵大学の紀要に昨年の講義の話を掲載していただきました。

来年2月には、ある大学で理科教育法の授業に一日だけ参加することになっています。
大学生と接するのも、とても楽しいし、いい刺激をたくさんもらえます。
来年も、いいつながりを持てればと思います。

●海外からのお客様
6月にベネッセの小村さんの関係でブラジルからのお客様が、10月には後藤さんの関係でイギリスからのお客様がいらっしゃいました。
いずれも「調査」のための来日ということでしたが、他の国ではどんなことに関心があり、どんなことを調査しようとしているのかなど、訪問を受けて学べたこともあります。
あまりこういう機会もないと思うので、貴重な学びになりました。

●文化祭と部活動
文化祭は、主担当2年目でした。
また、部活動は民族音楽研究部の主顧問3年目でした。
いずれも、色々とあり、自分のやってきたことを振り返りながら、ひたすらにモヤモヤしました。
考えて考えて、それでもよくわからなくて、今でもまだずっと考え続けています。
9月にある先生からいただいた「選択肢を増やすことは、教員がやるべきことではないか」という言葉が繰り返し脳内で聞こえます。
ここで感じた感情を大切に、引き続き考え続けます。

※活動のまとめはこちらにあります。