”理念の尊重を前提にした対話”のために

11月26日(日)、岡山のベネッセ本社で、ラーンズ主催の「TPチャート作成会」の講師をしてきました。
40校以上の学校から約60名の先生に参加いただけたようです。
内容は、
●TPチャートの作成(2時間15分)
●TPチャートの理念・方針の深堀り・整理(50分)
●T&Q実践例の紹介(30分)
●TPチャートを軸にした授業改善とT&Qの位置付け(35分)
というようなものでした。

TPチャートの作成と、ラーンズから出ているT&Qというワークブックの紹介をからめた研修会です。
T&Qは、いわゆるAL型授業のために新たに作られたワークブックで、生物基礎は僕も作成に関わりました。
しかし、このワークブックを紹介する際にも、「方法」の話が主になってしまいがちです。
本当は、個々の教員の教育理念・方針を理解し、そこと関連付けて紹介しないと、その「良さ」は理解してもらえないのだと思います。

そこで、今回の全体の設計としては、まずはTPチャートの作成と整理を通じて自分自身の理念・方針・方法を俯瞰し整理してもらいました。
その後、T&Qの実践例や教材設計の意図などを説明することで、自分の理念・方針のどこにどのように合致する方法なのかを考えやすくするものにしました。
「格安ツアーで必ず回るお土産物屋」ということにならないために、T&Qの実践例や教材紹介でも、様々な「要素」を盛り込むことで、T&Qそのものの採用とは別に、色々な「方法」を知り、それを「理念・方針」と紐づけて思考が深まりやすいように意識したつもりです。

このような形の研修会は、初めて実施させていただきましたが、参加者からは肯定的な感想をいただいていると聞いています。
僕自身が直接お話させていただいた何名かの方からも、とても好意的な感想をいただいています。
研修会の中で何度もあった「ペアでの対話」でも、全体を見渡して、本当に皆さん笑顔で楽しそうに話しているのが印象的でした。
「方法論VS方法論」ではなく、「理念の尊重を前提とした対話」が本当に大切だと思います。
それにより、誰もが前向きに教育活動の改善に向かっていけます。
また、さらにその前提として「自分の理念・方針を自分で整理し認識できている」ことが重要です。
実は、ここがあいまいになっているケースが多く、だから「方法論」に振り回されたり、あるいは「方法論」だけで対立してしまったりするのかもしれません。
その不毛さを打破するために、TPチャートは強力なツールとなりえます。

研修会には、岡山の他、島根、広島、兵庫、山口、香川、愛媛、徳島、高知と様々なところから来ていただけました。
これも、ラーンズの皆さまが広報してくださったからだと思います。
この研修会を一つのきっかけに、TPチャートというツールや、「理念の尊重を全体とした対話」をどんどん広げていきたいと思います。
今月は宮城に行きます。
もし他の地域の方でも「うちでも実施してほしい!」というご要望がありましたらお知らせください。
まずは多くの方に知ってもらうために、一生懸命汗をかこうと思います。