挫折をどう乗り越えるか

オイシックスの奥谷さんとランチをご一緒させていただきました。
学生時代から今に至るまで、どんなことを考えてきたのかなど、刺激的な話を伺い、エネルギーをいただきました。

印象に残ったのは、以下の2つの話です。

①(一番中高生に伝えたいことは何ですか?という質問に対して)早めに挫折するとよい
②その人の能力は掛け算である

僕の中では、この2つの話はつながって意味を持ちました。
挫折は、人に「無力感」を感じさせます。
その時の自分が「できないこと」と強制的に向き合うことになります。
その時、自分なりの努力でもがいてみても、その「できないこと」をどうしても超えることができないから「無力感」を感じるのです。
ではどうしたらよいのか。
そこでおそらく、「能力は掛け算」という話が大事になってくるのだと思います。

例えば、「一番になれない」もしくは「人より劣っている」ことで挫折を経験したとしましょう。
「一番になれない」「人より劣っている」というコンプレックスを抱き続けるより、違う軸で勝負する方が生産的です。
その時、自分の持つ様々な資質・能力を知っていて、それをどのように「掛け算」すると自分の良さが引き出せ、かつ「できないこと」を解決できるかが見えると楽です。
でも、大抵の場合、「自分の資質・能力」は自分でそれほど的確に把握できていません。
だから、「皆に共有されているわかりやすい評価軸」で考えがちなのだと思います。

「挫折」経験は、人に「考え抜く」機会を提供します。
その時に、「能力の掛け算」を念頭に置きながら「次」を考えられるようにするためには、自分を客観視するメタ的な経験がたくさんあった方がよいはずです。
そのような経験が不足している場合には、適切なメンターと対話することで、様々な気付きを得ることも可能です。
逆に、上記がない挫折は、単に人を絶望させ、次への意欲を削いでいくものになってしまうかもしれません。

自分自身の経験を振り返っても、「挫折」と思える体験のときには、考え抜く時間があり、今までの自分とは違った新しいアプローチを獲得してきたように思います。
奥谷さんも、たくさんの挫折を経験し、そのたびに考え抜いて着実に「新しい自分」を積みあげてきたのだと、お話を伺いながらわかりました。

僕が高校教育の場でできることはたくさんあります。

自分の資質・能力について客観的に見れるような機会を、メタ視点での振り返りの機会と合わせて設定すること。
色々な面白い人の話に触れられるような機会を設定すること。
対話できる多くの仲間を得る機会を設定すること。

こんな経験は、いずれ経験するだろう「挫折」に対して突破力になるはずです。