TPチャートを基にした授業改善研修(参加者の感想)

茨城県での2泊3日の研修会では、TPチャートの作成と共有から始め、そこで整理した「理念」や「方針」に基づく授業改善を個人作業と対話で進めていきました。
最終日まで参加いただいた9名の先生方からいただいた感想、意見を、許可を得たうえで共有させていただきます。

アンケートを読む限り、TPチャートは授業改善を進めていく上で強力なツールであるということがはっきりとしてきました。
これは、僕の予想と合致していますが、正直予想以上の反響でした。
やはり、このツールは一刻も早く広げていくべきであると強く認識しました。
※これを読んで興味をもっていただいた方向けに、9月24日に国立高校で同様の研修会を計画しています。TPチャート作成、共有、授業改善のための対話を一日で実施します。

アンケート項目は以下の通りです。

① TPチャート作成の感想、意見等
② TPチャートを基にした授業改善研修の感想、意見等

以下、9名の先生方からいただいたアンケートの記述です。


TPチャートを作ることによって、目標の中で特に自分が大事にしたいと思っていることがはっきりした。目標に向け取りたい方針が具体的に出てきた。今授業で行っている方法が、自分なりの目標に向けて行っていたことがグルーピングしてみてわかってよかった。しかし、方法の種類が目標を達成するためには不十分であること、すでにやっている方法にも改善が必要であることも自覚できた。またエビデンスをあまり示していないと反省した。
生徒のキャリア教育や人生を考えさせるにも現在行っている具体的な行動から考えさせるこのような方法がとても有効そうだと思った。
やってみて本当にいろいろなことが見えてきて良かったと思いました。

目標→方針から、いつまでにどのような力を今の生徒に身につけさせたいのかが、さらに対話をしている中で具体化されてきた。今は穴埋め式のプリント生徒の実情に合わせたつもりでやっていたが、それでは自分が本当に身につけさせたい力が身に付くのか?穴埋めではなく、生徒の実情に合った方法はないのか考えてプリントを作り直すことができた。自分に足りない、足したいがどこにこのアイディアを入れたらいいかなど、他者にアドバイスを求めやすくなったし、人を明示できるので、他の方のアドバイスしやすくなったのではないかと思う。


やることが明確になるのでいいと思います。今までの授業の反省をしたような気がします。

アクティブラーニング型の授業をすることについては本校の場合全時間で実施することは難しいが、部分的には可能である。出来る限りアクティブラーニング型の授業を取り組みたいと考えるようになった。
TPチャートを作成していると授業で何をやるべきかの軸がハッキリするような気がします。
研修をしたことでアクティブラーニング型の授業のアイディアが増えた。


TPチャートについては、以前からFacebook上で話題になっているのを見て興味があった。実際に体験してみて、自分の教育に対する理念を顕在化できた事は収穫だと感じている。作成前は、文部科学省の唱える「主体的・対話的な力」を育てることが自分の目指していることであると考えていた。しかし、実際の行動から導かれたのは意外にも「生徒に最低限の学力(ここで言う学力はテストの点数)を作る」ということであった。振り返ると、確かに今までプリントを作成する際に意識していたのは、「クラスの生徒全員が、問題集の基本レベルの問題を、8割以上正解できるようにすること」であった。自らの理念と行動が一致しているのか、と言う基本的で重要なことを、客観的に確認できるツールであり、これからも定期的に取り組んでいく価値があると感じた。

前より『学び舎い』に取り組んでおり、大野先生のホームページ上で公開されている資料を参考に(ほぼコピペ)していた。今回、新しく導入された、生徒への問いについては自分も取り入れたいと思う。初回オリエンテーションは、一方的にこちらの考えを生徒に訴える形になってしまいがちたが、生徒に体験してもらうことで説得力が増すと思う。
模擬授業体験では、生徒の立場を体験することができ、とても有意義だった。これまで与えたプリント課題が、生徒にどのような負荷をかけていたかと言うことに思い至った。今後生かしていこうと思う。脳科学の進展についても驚きを感じた。
今後の授業案作りでは、DNA抽出実験について取り上げた。目的と手段の不一致、なぜ実験が必要なのか、実験を行うことでどのような効果を狙っているのか、という点についてご指摘いただき新鮮な気づきを得られた。
研修を通じ、すべての教育活動に、その理念から行動に至るまでの整合性がとられているべきで、パズルのピースを組み合わせように関連しているのだということが理解できた。今後取り組んでいく上で、指針となる考え方が得られ、計画や準備にエネルギーを費やす意義が納得できた。思考停止やどんぶり勘定から脱却した活動を目指していく契機となったと感じている。


最初は難しそうでとっつきにくそうなイメージがありました。ぼんやりと「こんな生徒になってほしい」とは考えていましたが、授業のどの部分でどんな方法で…というところまでは明確でなかったので、アクティブラーニング授業を計画して行き詰まってしまいました。
今回、TPチャートを作成してみて、1枚に理念や方針、方法、仕事の現状が整理されると確認しやすいし、振り返りやすいと思いました。いろいろな先生方との対話を通して気付いたり、ひらめいたりできた経験がよかったです。TPチャート作成後の研修中でもこれからこういうことを取り入れていこうとか、さらにこういうことを勉強してみようとか考えています。年に1度自分の考えていることを整理するためにやってみようと思います。また3年間通して担任として何ができるかを考えるときに使えたらいいかなと考えました。

アクティブラーニング授業の教材研究をしていく中で行き詰まったときに「目指したい生徒像」があり、自分はどんな方法で進めていくか、いろいろな先生方と対話することで気づくことが多くあり、授業のアイデアにもつながってきました。課題設定の目的をはっきりさせて工夫していきたいと思いました。
自分の理念と方針がはっきりするとすっきりと教材研究ができることを実感しました。日々学び続ける教員になれるように頑張っていきたいです。大変有意義な研修をありがとうございました。


現在の取り組み状況を確認することができた。
TPチャートの作成を通じて「理念」を再確認、原点の見直しができた。
今後、「理念」をもとに効果的なALを実施するための研究・実践をしていきたい。

TPチャートで理念を確認後の指導案作成は非常に有効であると感じた。
生徒の活動を想像しながら作成できた。
グループワークを通じての作成は初めての経験であり、非常に刺激を受けた。
非常に有意義な三日間でした。ALも本気で取り組みたいと思います。ありがとうございました。


「目標」からではなく、普段の行動(方法)から書き出していく手法が新鮮でした。方法と理念が一貫していないと指導にブレが出る恐れがあるので定期的に確認してみたいと思いました。

「理論の説明→実習→グループで深め合う」という流れに沿って学べたのが分かりやすかったです。先生の実践例を直接見聞きできたのが非常に参考になりました。模擬授業の時間が長かったように思われました。全体で二日間位が適当かと思いました。私の場合、TPチャートで導かれた「理念」と授業の「目標」を一致させるのが難しく感じました。ということは、指導していく中でぶれてしまう場面が出る可能性があり、チャートの内容を再検討してみたいと思いました。
三日間内容の充実した研修でした。9月からとりあえず始めてみようと言う気持ちが強まりました。お忙しい中時間を割いていただき本当にありがとうございました。


半日と言う短い時間であったにもかかわらず深く自分を掘り下げることができ、何が理念か文字にすることで明確になりました。さらに翌日の指導案作成時に何度もTPチャートを振り返ることでより理念及び問いが明確化されました。

グループワークの際、流れや問いに注目しがちだが、理念を踏まえて相手の授業案を見ると相手により良い提案、意見の交換ができ、そうすることで自分の理念や案も高まることが実感できた。1人だとモヤモヤした流れや指導方針を大野先生は言語化してくれた。


教科の域を超えて、自分自身の仕事について考える機会をもらいました。毎日慌ただしく、目先のこと、とりあえずの仕事に追われてしまっています。自分自身の方針、理念、目標がわからなくなっていたり、実際にやっている方法と異なっていたりしました。無意識にあったものを自分の中で認識した感じです。
理念目標に向けた活動が少なく、そのことに多くの時間と労力が費やされていることに気づきました。時間とともに方法目標が変わっていくのでその都度作成すると良いと思います。またTPチャートは仕事だけではなく私生活にもやりたいです。

目標と方法が異なっていたことに気づき、生徒への課題をもっとよく考えるべきだと思いました。今まで、簡単すぎなもの、無理な課題を出していた。興味関心を持たせるために理解の早い生徒に発展課題を設けようと思いました。


今まで教科書の内容をいかにわかりやすく教えるかに重きを置いていてどんな生徒を育成したいかを置き去りにしていた。どんな理念のもとどんな方針で具体的にどんな授業を展開していくのか整理できた。

生物基礎の内容であってもその内容の理解を深めるためには発展の内容を精査して加えて活用することが大切である。
振り返りシートの活用により、授業への生徒の積極的主体的な取り組みを導入できると感じた。