高校生物で扱いたい脳科学

理数教育研究所広報誌「Rimse」のNo19が公開になりました。

連載「ヒトの生物学を教えよう」は、第8回「記憶のしくみを考える 」です。
高校生物で、「脳科学」の分野でどのような内容をどのように扱うことができるかの具体例として「記憶のしくみ」についてまとめてみました。

以下のようなことが書いてあります。

●記憶の種類により脳の責任部位やしくみが異なる
●シナプス可塑性の具体的なしくみとしては、神経伝達物質の放出量が増えたり、受容体の数が増えたりすることがある
●海馬の神経細胞のLTPは、グルタミン酸の受容体が増えることで起こる。
●ある神経細胞が刺激されたとき、その細胞と接続している神経細胞の集団が一つのグループ(セル・アセンブリ)を作り活動する。
●後で同じ神経細胞が興奮したときに、同じ集団が活動することで、その記憶を想起することができる。
●「記憶の連合」の研究は、PTSDの治療や犯罪捜査への応用が期待されている。

実際にこれをどこまで扱うことができるかは、今後の検討が必要ですが、まずは多くの方にお読みいただき、ご意見をいただけますと幸いです。