機会や場を生徒がつくるということ

ある生徒が、「女性研究者の生き方」について知りたいと板山先生に相談して来ました。
そこで、首都大学東京の福田公子先生にお願いし、生徒と対話する時間をつくっていただきました。

実際にお願いをするメールは生徒本人が作成し、僕が仲介して福田先生に送信しました。
このとき、人に何かをお願いするときに気をつけることをいくつかアドバイスしました。

4名の生徒が訪問し、大学院生2名の研究の話と、福田先生のお話を聞くことができました。
残念ながら僕は一緒に訪問することができなかったのですが、生徒はとてもいい刺激を受けたようです。

4名は、いずれも僕の持つ講座の生徒だったので、今日の授業冒頭に4人合わせて10分ほどで「お土産話」をお願いしました。
どんな内容をシェアするか、それぞれ話を組み立てて来てくれて、他の生徒も皆熱心に話を聞いていました。

この一連の流れでは、以下のような要素があります。

⚫︎「課題」を見つけたときに、しかるべき人に相談した。
⚫︎しかるべき人にしかるべき人をつないでもらった。
⚫︎「お願い」をするときに気をつけることを実際のメール作成で知った。
⚫︎仲間を見つけ、仲間とともに行動した。
⚫︎一方向の「講義」ではなく「対話」の価値を知った上で対話をお願いした。
⚫︎与えられた機会を生かし、自分にとって意味のある時間を過ごせた。
⚫︎学んだことの中から皆に共有する内容を取捨選択した。
⚫︎制限時間のある中でプレゼンテーションを行なった。

これらの「主体」は生徒にあります。
板山先生や僕は、必要最低限のサポートをしただけです。
生徒が自分で課題を発見し、そこに対して適切にアプローチし、少しずつ前に進んでいく力。
これは、今僕が目指す方向の1つです。
それが少しずつでも自然と形になっているのを感じて、とても嬉しく感じました。

様々な機会や場を教員が提供するのも、きっかけ作りとしては大切だと思います。
でも、そこから、生徒自身が機会や場を自らの課題に応じて自分でつくり、課題の解決に向かうことは、より重要だと思います。

ちなみに、今回の企画を立ち上げた生徒は、先日の「近未来ハイスクール」に参加した生徒です。
「どうして今までこういう場を知らなかったのだろう。もったいなさすぎる」と言いながら、とても刺激を受けていました。
そこで、大人とのフラットな「対話」の価値を強く実感できたのだと思います。
そして、それが今回の企画の後押しをしたのだろうと思っています。

教員は、ときに外部とも連携して、様々な機会や場を提供します。
それ自体が大きな価値を持ちますが、「その先」が大切です。
「その先」を常に考えながら、どのような機会や場が有効なのかを考え続けたいです。