関係性と偶然に救われる感覚

この数ヶ月間、授業に関して「葛藤」してきました。
一昨日、昨日と、その葛藤に対して自分なりに向き合い、一つの方法を試しました。
実際のところ、それはあまりうまくいかず、「一方通行のラブレター」などという比喩が適当なほどに、伝えたいことをうまく伝えられないもどかしさを抱えていました。

そんな状況で、福岡県で開催される生物関連のプロジェクト学習合宿に参加するために、今、飛行機で移動しています。
その機内で、この文章を書いています。
2泊3日の期間は、「追われる仕事」をとりあえず脇にやり、「じっくりと考えたかったこと」を考えてみる機会にしようと思っていました。
そのために、「旅のお供」として持ってきたのが、村松秀さんの書かれた「女子高生アイドルは、なぜ東大生に知力で勝てたのか?」という書籍。
村松さんは、NHKの「すイエんサー」という番組をつくっていた方で、その番組づくりの考え方をまとめられたのがこの書籍です。

日本科学未来館で開催されたシンポジウムでシンポジストとして参加されていた村松さん。
そのお話にとても刺激を受け、終了後名刺交換をさせていただき、その後Facebookでも繋がらせていただきました。
実際にお話ししたのは1分もなかったと思います。
しかし、その後、ありがたいことに僕がFacebookで発信している情報をお読みいただき、向かおうとしている方向性が似ていると感じられていたそうです。
そして、先日、「これからの教育を考える材料に」と、ご自身の著書を送ってくださいました。
このこと自体が、とてもとても嬉しいことでした。

書籍を読み進めて行くと、「これはとてつもなく大事なことが書いてある」と感じ、自分が授業で感じている課題に対しての山ほどの思考のヒントが詰まっていることを感じました。
どこかできちんと整理したい、そう思っていながらも「追われる仕事」に急き立てられ、時間が過ぎてしまいました。
そこで、この機会にと、この旅に持参しました。

2回目は、メモを取りながら、一文一文を噛み締め、じっくり思考しながら読んでいます。
まだ半分ほどですが、その作業と思考を通じて「救われる」感覚を覚えました。
この一年、自分が考え、取り組んできたことに対しての「肯定」をもらっているような感覚。
さらに、今自分が当たっている「壁」の正体が、靄が晴れるように見えてきて、そして次年度に向けた具体的な方策が見えてくる。
1回目に感じた「興奮」とはまた違った「救い」を感じます。

今日の、今の自分に、とても必要だった一冊だと思います。
今この一冊に出会えたのは、未来館のシンポジウムに出かけて名刺交換をお願いした自分、日々のあれこれを情報発信し続けた自分、それを見てくれていて、書籍をお送ってくださった村松さん、そしてこの旅に「何か一冊」と思って選んで持ってきた自分がいたからです。
全てが偶然ですが、でも、どれもが「受け身」ではなく、何らかの「アクション」を伴ったものです。

人生って不思議なものだなぁ。

そう思います。
時に、人生の偶然は自分を落ち込ませますが、時に自分を救ってくれます。
間も無く、着陸態勢に入るようです。
眼下には、陸ではなく海が広がりました。
福岡県へ向かう機内での素敵な「出会い」に感謝します。
やはり、「旅」は人生に必要です。