生徒の活動中心の授業と成績の関係

ある高校の生物の先生から、とても興味深い話を伺いました。
「教員の講義中心の授業」と「生徒の活動中心の授業」とでは、どちらが成績が上がるかということに関する実践です。
許可をいただいたので、共有させていただきます。

その先生は、①「生徒の活動主体」の授業と②「教員の講義主体」の異なる方法で約1か月間授業を行いました。
①の授業は、課題プリントを配布し、教員の講義は少な目で、生徒のグループ学習を中心に展開する授業。
②の授業は、用語穴埋め式プリントを用いて、PPTを使って教科書の内容を説明する教員の講義を中心とした授業。

その後、共通テストを実施したところ・・・
「①のクラスが②のクラスより平均点が高く、標準偏差が小さくなった」
という結果が出たそうです。

具体的には、平均点で7点の差がつき、標準偏差は②が16.3だったのに対し、①は12.1だったそうです。
その先生から伺った話では、「それまで講義型で行っていた時期の考査では標準偏差が13.5~14.6ぐらいだったものが、今回12.1と、クラス内のバラツキが小さくなり、下の層の生徒が大分引き上げられたように思う」ということでした。
「まさに」という感覚を持ちました。

試験問題も見せていただきましたが、基本的な知識の確認問題が中心のものでした。
「暗記」の要素が強いような試験で、このような明らかな違いが出ていることに驚きました。
これが考察型の問題の比率が増えていったときに、より顕著な違いが出る可能性があると思いました。

自分の感覚としては、「(教員の)講義中心」よりも「(生徒の)活動中心」の方が、理解は深まるだろうと思っていましたが、同じときに授業形態を変えて共通テストで結果をみる、ということはできていませんでした。
今回伺った話は、まさにこれを実践しているもので、大変興味深いものだと感じました。

「生徒主体の授業」と「学力の向上」は矛盾しない、むしろ大きな効果がある、ということだと思います。
そのあたりに不安を持つ多くの実践者の方の力になる貴重な実践報告です。
「誰かの背中を押せたら」という思いで共有させていただきました。
話を聞かせていただいた先生に深く感謝いたします。

※似たような事例がもしあれば、是非教えていただけますと幸いです。