自分の街の当事者になる

NHK「プロフェッショナル」の建築家・大島芳彦さんの回で語られた言葉。

"それぞれ住んでいる人たちが自分の言葉で自分の街を自慢できるというのは当事者になるってことなので。
当事者になれば個人個人が暮らしを豊かに改造していくことができる。
変えていくことができる。
変わるのは街並みが変わるんじゃなくて住んでいる人の意識が変わるっていうこと。
そちらの方が大事ですよね。"

建物のリノベーションを通して、街の在り方を変える。
すごい発想と実行力だと思いました。

「誰もが生きやすい社会」を実現するためには、「当事者意識」は大事なものだと感じます。
「当事者意識」は、自分のごくごく身近なものや、直接利害関係のあるものに対してはもちやすいですが、「地域」とか「社会」となると、漠然としてきて、当事者意識は持ちにくいものです。
「それぞれ住んでいる人たちが自分の言葉で自分の街を自慢できるというのは当事者になるってこと」だとすれば、「自分の街」を「家族」「学校」「部活」「地域」「国」「世界」に置き換えたときに、どこまでそれを自然な感覚として持っているかが「当事者意識」の範囲なのかもしれません。

当事者意識というものに、「建物」を通じてアプローチし、「誰もが生きやすい」ような「在り方」への変容を目指す。
大島さんの仕事は、一貫したビジョンがあるように思いました。
究極は、「幸せ」を実現するということだと思います。
「価値のないものを壊して、新しい価値あるものをつくる」のではなく、「人々の思いとそこに付随する価値を生かして、新しい価値を加えていく」。
「建物だけではなく物語を引き継ぐ」という流儀、素晴らしいと思いました。

教員の仕事の在り方についても、思考のヒントをいただきました。