2016年を振り返る

①与えていただいた機会・場

年が明けてしましましたが・・・2016年の振り返りをしておこうと思います。
2016年は、様々な機会・場をいただきました。

主なものだと以下のようなものがありました。

●執筆
理数教育研究所 広報誌「Rimse」
東京都生物教育研究会会誌 寄稿論文「高校生物におけるアクティブ・ラーニングの実践例」
株式会社ラーンズ「Think and Quest」生物基礎
すぐ実践できる! アクティブ・ラーニング 高校理科(発売は2017年予定)

●プレゼン
日本生物教育学会第100回全国大会東京大会
カト研:これからの教育を考える〜高校生と考える我が社の課題
オプンラボWS「教育改革で注目の”アクティブ・ラーニング”を社会人教育に活用する方法」
教育改革先取り対応セミナー
日本生物教育会第71回全国大会熊本大会
武蔵大学教職課程コース講演会
東京農工大学シンポジウム「高校で浸透するアクティブ・ラーニングをどのように大学教育に接続するか?」
茨城県高等学校教育研究会生物部中央支部研究会

●ウェブ
日本経済新聞夕刊「体・験・学」
ウェブ de 授業見学(Find!アクティブ・ラーニング)

日経新聞で取り上げていただいたことで、それをきっかけに授業見学に来ていただく方もいて、「つながり」が広がっていきました。
また、「つながり」という意味では、「ウェブ de 授業見学」の動画は、思ってもいないような反響がありました。
色々なところに出かけていくと、必ず「動画見ました!」という方が複数声をかけてくださいました。
数年前からNHK高校講座に出演していたり、今年は上記のように新聞で取り上げていただいたりしましたが、それをはるかに凌駕する影響力です。
これには本当に驚きました。
また、同じ国立高校の同僚で尊敬する板山先生とともに動画をアップしていただいたことも大きかったと思います。
授業見学の際も、板山先生と僕の授業を両方見ていただける方が多数あり、それを材料に様々な情報交換ができました。

アクティブ・ラーニングに関しては、都生研会誌の寄稿論文をまとめることができたことはかなり大きな成果です。
また、学陽書房より出版予定の書籍の原稿を書き終えたことで、今の実践について「まずこれを読んでみてください」といえるものができ、執筆はなかなかに辛い作業でしたが(〆切でご迷惑をおかけした山本さん、申し訳ありません)、最終的にとても充実したものとなりました。
ラーンズのワークブックも無事に発行されましたし、アクティブ・ラーニング関連での執筆は一段落しました。
1月の生物教育学会からは、違ったテーマで発表を組み立てていこうと思います。
日生教と生物教育学会では、ここのところ「アクティブ・ラーニング」を意図的に演題に入れていましたが、もはやその必要ありません。
これも嬉しいことです。

また、ナガセの教育改革先取りセミナーで広島、日生教で熊本、『学び合い』フォーラムで宮城、先進校視察で京都、研究会で茨城と、東京以外の様々な場所を訪問し、様々な方々と情報交換する機会を得ることができました。
この数年で、本当に文字通り「北海道から沖縄まで」、日本中のあらゆる場所に「仲間」を得ることができました。
今年は特に「広がり」を感じた一年でした。
本当に本当に嬉しいことです。

また、「広がり」という点では、「ビジネス界との連携」の可能性が見えてきたこともとても大きなことでした。
オプンラボの小林さんからカト研の加藤さんにつないでいただくとともに、授業見学からもつながりを広げることができました。
これがプロジェクト学習につながっていきます(次の記事で書きます)。

それから、2016年で大きかったのは「教師教育」について明確に意識を持てたことです(教師教育というと「ごつい」ですが、単純に「教師の成長」とは何か考えています)。
2015年、2016年と2年続けての国立高校での教育実習の経験から、「教師の成長」ということを真剣に意識し始めていました。
そうして、武田先生との対話から、「やりたいこと」として自分の中で大きくなっていきました。
その中で、武蔵大学の教職課程の授業で話す機会をいただき、色々と試せたことも貴重な経験でした。

新しい人との「つながり」を得るともに、様々な気付きとエネルギーをもらいました。
引き続き、自分のできる範囲での情報発信をしつつ、2017年も新しい機会・場をいただければ、それを大切にしていこうと思います。

②自分で創る機会・場

振り返り①では、いただいた機会・場について書きました。
本当にありがたいものばかりで、十分素晴らしいのですが・・・でも、以前にこんなことを書きました。

2015年4月8日
"「外から与えられたゴール」ではなく、「自分で設定したゴール」は、うまくいってもいかなくても、おそらくワクワクできます。
自分の人生くらい、自分で面白くしたい。
そんなイメージを、少しずつ具体的な形にしていこうと思います。"

だから、「与えてもらう」機会・場を大切にしながらも、自分からプロジェクトを立ち上げ、動かしていくということも僕にとっては重要なことです。
今年度は、以下のようなことに挑戦してみました。

●緩やかにつながる「場」の設定
●中学校への出張授業
●一日丸々プロジェクト学習

特に、「振り返りを重視したPDCAサイクル」が思考の中心にありました。
それを軸にしてきたので、実践を伴いながら、かなり思考が整理された一年となりました。
中学校での出張授業でも、「何度もサイクルを回す」ことにこだわりました。

2016年10月17日
また、3月のカト研の皆さんとのコラボから、どこかで実現したいと思っていたプロジェクト学習が、日生教熊本大会を機に一気に具体化していきました。

2016年8月7日
"この実践報告に衝撃を受けました。
僕のやりたいことが、すでに実現していたからです。
僕が妄想していたのは、
・複数校の生徒が参加
・単なる雑談ではなく「対話」を行う(PBLなどが使えそう)
・一回性のイベント体験ではなく、継続性のある「つながり」構築へ
ということでした。
「場の価値」を認識していても、実際に「場の創造」ができなければ、何も始まりません。"

2016年11月14日
"「学校合同プロジェクト学習(仮)」
・様々な学校から生徒さんに参加してもらい、合同で行うプロジェクト学習です。
・ディスカッション(60分)→プレゼンテーション・質疑(30分)のような流れで、一日に複数回サイクルを回します。
・丸一日(9時~17時など)の予定です。
・会場は国立高校を予定しています(管理職には相談済みです)。
・アクティブラーニング推進校の活動の一環として実施できる見込みです(つまり都立の方は出張で参加できます)。
・日程は、12月26日(月)~28日(水)のいずれかを第一候補とします。
・高校以外の先生の参加の可能性も模索していきます(現時点で確定ではありません)。"

2016年12月8日
"12月27日(火)に、以下のようにプロジェクト学習の会を実施いたします。
様々な学校から集まった生徒たちが交流することも大きな目的の一つです。
生徒引率なしでのオブザーバー参加も可能です。"

最後の最後に、「ビジネス界との連携」のために、助けを求めたところ、多くの方に参加していただけることになり、素晴らしい会になりました。
当初抱いていた
・一回性のイベント体験ではなく、継続性のある「つながり」構築へ
という部分も、今後に期待が持てる展開になりました。
こうして、新しい「場」を創って、そこで人のつながりが生まれることが本当に嬉しく、強いやりがいを感じます。

上記のような対面での「場」創りは引き続きやっていこうと思いますが、もう一方でウェブを使った発信や「場」創りも重要だと思います。
振り返り①では、「ウェブ de 授業見学」の影響力について書きましたが、同じようにどこに出かけても「HP見てます!」と声をかけていただきました。
HPは、「与えられたもの」ではなく、「自分が意図して動いたもの」です。
それが、どこかで誰かの役に立っているということを実感でき、本当に嬉しく感じました。

2017年は、以下のプロジェクトも動かしていきたいと思っています。

2016年12月8日
"以下のようなプロジェクトを考えてみました。
教員で「チーム」をつくって、お互いの授業を「当事者」として改善し続けていく、というものです。
思いつきで書いているので、かなりラフだとは思いますが、もし興味のある方がいれば大野までご連絡ください。
ちなみに、この活動をまとめて、学会で報告したりできるとよいなぁとも思っています。"

これも、「対面」のものを軸に、「ウェブ上での対話」という形式も試してみたいなぁと思っています。

また、これ以外に、いくつか動かしたいプロジェクトが頭の中にはあります。
●「探究活動」に関するプロジェクト
●「理科的な見方・考え方」「深い学び」に関するプロジェクト
●脳科学に関するプロジェクト
●PBL合宿

可能な範囲で挑戦し、2017年の終わりにこれを見返したときに、「あのときに考えたことはほぼやった」と言えるとよいなぁと思います。
これも楽しい妄想です。

③学校のこと

勤務校での実践については、2016年は、やはり「何度も回すPDCAサイクル」を軸に、特に「探究活動」の充実を図りました。

2016年10月16日
"1年生の生物基礎の授業では、昨年度よりもかなり多くの「問い」をつくる授業や「プレゼンテーション」のある授業、対話による「振り返り」のある授業を展開しています。"
" 最近は、班ごとのプレゼンテーションにもほとんど抵抗感なく、自然になっていますし、教員からの指摘がなくても、「振り返り」の中での他者との対話の中で、良いものを「真似び」、成長していっているように思います。
考査の「振り返り」から、今の自分の課題を見出し、授業の中で様々な方法を試している生徒もいます。
何か活動をしたあとのプリントには、「次の機会があれば○○したい」という言葉が見られますが、1回のイベントだと単なる社交辞令的な意味しか持たないことが多いように思います。
しかし、実際に何度も繰り返すことで、「本当に次があるんだ」という当事者意識をもちながら「振り返り」をし、次につなげていく、つまりPDCAサイクルを回していけるのはかなり大きいと感じています。
これからもあらゆる活動に探究的な要素を入れ、PDCAサイクルを回していける機会を多く提供できると良いなぁと思っています。"

手応えを感じることがありつつも、まだまだ課題が山積しています。
一つ明確になったのは、「成果物の質」ではなく「体験の質」を大切にしようということ。
もちろん、「成果物の質」を求めることで「体験の質」も上がるのですが、ともするとそこに一喜一憂してしまうことになりかねません。
「目的」から考えれば、何が大事かは自ずと見えてくるはずです。
この2年弱、色々と逡巡し、今も逡巡していますが、ここのあたりの感覚ははっきりしてきました。
1年生の生物基礎は、これを軸に、「すべてはトレーニング」という位置づけでやっていければと思います。

また、3年生では「受験」に振り回されるのではなく、それを「ツール」としていくということがよりはっきりしましたし、ある面での結果も出始めました。
彼らにとって意味のある体験の場を提供するために、探究的な要素や、もっと単純に生物学の面白さの要素を入れていきたいと思います。

また、2016年で、本当は一番重かったのが「文化祭」です。
文化祭については、フェイスブックでもかなり色々書きましたが、一連のことから「ルール・マニュアル型」から「ビジョン・プリンシプル型」への転換の重要性が明確になりました。

https://www.facebook.com/tomohisa.ohno.79/posts/1028677963913220

https://www.facebook.com/tomohisa.ohno.79/posts/1035051026609247
https://www.facebook.com/tomohisa.ohno.79/posts/1133664490081233

自分自身の関わり方としては、「顧問」の位置付けについて様々に思考し、自分の行為に後悔することしきりでした。

https://www.facebook.com/tomohisa.ohno.79/posts/1032799370167746

しかし、その中で、一つ一つ組織というものへの理解が深まり、10年経って、今までの自分になかった新しい発見がありました。
思えば、9年間で3回卒業生を出し、毎年のように担任をしてきたこれまでとは違って、2年続けて担任を外れて分掌の仕事にどっぷりつかったのは初めてです。
そして、こんなに大きな行事を担当するのも、もちろん初めてでした。
以前であれば、担任を持ちたい気持ちが大きく膨らんでいたことと思いますが、今は不思議とその気持ちはそこまで強くありません。
そのような心境の変化を感じられたのも、自分としては嬉しいことです。
おそらく、「自分にスポットライトが当たる」ことから「生徒にスポットライトが当たる」ことに、本当にシフトできてきているのだろうと思います(まだまだ不十分ではありますが・・・)。

文化祭に加えて、主顧問である民俗音楽研究部と副顧問である剣道部の生徒たちとの関わりの中でも様々な気付きや学びがありました。
とにかく、「組織」というものをこの2年間考え続けています。
自分の強みと弱点も見えてきました。
だからこそできることがあると思っています。

また、2016年度から、国立高校はアクティブ・ラーニング推進校となり、様々な経験を積むことができました。
石川先生による講演会、京都・滋賀の先進校視察、推進校各校の実践事例報告会と、どれも推進校だから経験できたことでした。
また、年末のプロジェクト学習も推進校として実施でき、「学校間交流のための拠点校」への道が見えてきた気がしました。
報告書を書いたり、ちょこちょこと書類の仕事がありますが、それでも推進校として活動できることでとても貴重な機会をいただいています。

2017年度は、どんな仕事を担当することになるかわかりませんが、引き続き、プロジェクト、PDCA、ビジョン・プリンシプルなどを意識しながら、授業・部活・行事・AL推進校などなど勤務校での仕事を(無理のない範囲で)さらに充実させていきたいと思います。

④卒業生のこと

最初に担任として卒業生を出した井草高校の卒業生との会がありました。

https://www.facebook.com/tomohisa.ohno.79/posts/1118947821552900

素晴らしい夜でした。

新宿山吹に移り、最初に出した卒業生は、早い人でもう大学4年生。
教育実習で頑張っているという話をU先生から聞きました。
2017年の3月には同窓会があり、そこに呼んでもらいました。
どんな成長が見られるのか、今から楽しみです。

2014年度に担任として出したある卒業生から、メッセージをもらいました。
「ともにいい社会を創る仲間」となってくれたことを強く感じる、本当に嬉しいものでした。
こんな話を大真面目にできるのは、彼だからだと思います。
教師としてのやりがいを感じ、大きなエネルギーをもらいました。

国立高校ではまだ担任が持っていないけれど、授業で教えた生徒と卒業生として会えました。
2015年度にはなかったことで、かつ何度もあることではないので、どれもが新鮮でした。
これからどれだけの人とつながりを持ち続けられるかわからないけれど、どこかで「人生」の色々な話を聞けたら嬉しいなぁと思います。

現役の生徒からはエネルギーをもらうことも多くありますが、エネルギーを使い果してしまうこともしばしばです。
そんなとき、卒業生との対話や、嬉しい知らせは、エネルギーになりました。
どんなに立派なことを言ったり、考えたりしても、結局卒業生に助けてもらっています。
2016年は特にそんなことを感じる一年でした。

冒頭に書いた井草の卒業生との会で、何となく自分の中では一区切りしました。
2017年は、少し違った気持ちで過ごしていけそうな気がします。

⑤家族のこと

奥さんが職場復帰し、子どもが保育園に行き始めました。
「父親」として、色々な経験をし、色々なことを考えました。
子どもの急速な成長を見ながら、自分も成長させてもらっていることを実感します。

ここまで書いたような、とんでもない仕事・生活に付き合ってくれる奥さんには感謝しかありません。
そして、他のことでは得られない、なんとも形容しないのない幸せな時間をくれる息子にも感謝です。
「今日の君には、明日はもう会えない」
本当に急速に成長していく息子の姿を見て、そんなことを強く思う毎日です。

皆がいるから頑張れます。
皆がいるから生きてます。
皆で一緒にいるだけで、幸せな時間です。
2016年も、どうもありがとう。