主体性・多様性・協働性

学力の3要素は、観点別評価でも使用されている観点とも関連して、以下のように整理されることがあります。


●知識・技能
●思考力・判断力・表現力
●主体性・多様性・協働性


このうち、3つ目が今一つ整理できていませんでした。
しかし、昨日の講演会に参加しながら、自分の中で思考が整理できました。
それは、紹介されたいくつかの「問い」に対して、立ち向かえる生徒を育てるためにはどのような要素が必要か、ということです。


ある題材に対して、一人で考えるよりも、色々な人がいて、色々な意見が出たほうがよいだろうと考えました。
「多様性」が必要ということです。
しかし、ただ多様性があるだけでは収集がつかない可能性があります。
だから、多様な人が協働する必要があります。
「協働性」も必要です。
さらに、多様な人が集い、協働する準備ができていても、一人ひとりが主体性を持っていなければ、「それでどうしようか・・・」と、対話が進みません。
だから個々の「主体性」も非常に重要です。


どれかが欠けると、不十分である、という視点。
「多様性」があり「協働性」があっても、「主体性」がなければ進まない。
「主体性」があり「協働性」があっても、そもそも集団に「多様性」がなければ、それがある集団より発想の幅は狭くなってしまう。
「多様性」がある集団で個々が「主体性」を持っていたとして、「協働性」がなければ、それぞれが勝手な主張を繰り返して、対話は成立しない。
だから、この3つの要素なのだということです。
この3つの要素が満たされている中で対話をすることができれば、それはものすごく成長のスピードを速めるでしょう。
でも、実際には最初からこれらの要素が満たされている集団は、高校生段階ではほとんどありえないような気がします。
だからこそ、このような「方向性」を示し、様々な「場」を提供し、それを振り返ることで、少しずつ成長していくしかないのだと思います。


ちなみに、個人的にとても大きな違和感を持っていたのが「多様性」の部分。
「主体性」「協働性」は、ある個人が持つ資質として理解できるのですが、「多様性」は、個人ではなく集団に対しての表現のような気がして、並列になっていることに違和感を持っていました。
しかし、今回上記のような思考を展開する中で、「自分自身が集団の中で発揮できる多様性」と捉えると、少し違和感が減りました。
自分自身が、集団に「多様性」を生む原動力となる、ということ。
それは、「様々な資質・能力を身につける」ことを思い浮かべがちですが、それだけではなく「すでに自分の中にある、周囲とは違う自分なりの個性への気付き」ということがより重要だと思います。
それは、自分ひとりではなかなか気が付くものではありません。
だから、「他者の目」が必要であり、それに気付くためにも、協働が必要なのだと思います。
様々なものがつながりあって、影響しあって成長していく。
その先に、「主体性」「多様性」「協働性」を備えた集団ができ、生産的な対話が展開していくのだと思います。
そのプロセスで、新しい入試に対応する力は自然とついていくのでしょう。