映画的なものと小説的なもの

王様のブランチのブックコーナーでの、映画「君の名は」監督の新海誠さんのインタビュー。
映画と小説の違いについて2点説明していました。


●映画と小説の違い①視点
小説は一人称だから、登場人物の目線でしか描けない。
映画はカメラが自由に動ける。


●映画と小説の違い②時間軸の存在
映画は、作り手が徹底的に時間をコントロールしている。
どこでドキドキさせよう、どこでスピードをグンと上げようetc...
映画を楽しむには「ストーリーに身をゆだねる」
制作側がコントロールしている時間軸の中で心地よく物語に翻弄されるのが魅力。
小説を楽しむには「自ら入り込むこと」
時間軸は自分自身のもの。
だから、まずは自分自身が物語に入っていかないと楽しめない。
座っていれば勝手に入ってくる映画とは違う。
その努力を払った分、映画ではわからなかったより深い情報を与えてくれる。


2点目の「映画は身をゆだねる、小説は自ら入り込む」という対比は面白いなぁと思いました。
今日の講演会でも感じましたが、「良いプレゼンテーション」と「良いレクチャー」との対比にもつながるなぁと思います。
身を委ねて、映画的に楽しめるのが「良いプレゼンテーション」。
それに対して、聞き手が単なる聞き手ではなく、自ら入り込んでいき、その場の空気で時間軸が自由であり、話し手と聞き手がともに作り上げていくのが「良いレクチャー」。
以前からモヤッとしていたあたりを、上手く言語化してもらえた感覚です。
"その努力を払った分、映画ではわからなかったより深い情報を与えてくれる。"
という表現も、その通りなのだろうなぁと思いました。


学習者中心、ということは、「映画的なもの」から「小説的なもの」へ、という文脈で考えてみるのも面白そうです。