宇多田ヒカルさんのアルバム

宇多田ヒカルさんのアルバムを購入しました。
音楽に胸の奥底から鷲掴みにされたような衝撃を受けました。


3曲目の「花束を君に」
シンプルなアレンジに、極めて自然な、そして唯一無二の歌声、圧倒されました。
この曲にはこんな歌詞があります。


"毎日の人知れぬ苦労や淋しみも無く
ただ楽しいことばかりだったら
愛なんて知らずに済んだのにな"


すごい歌詞です。
この曲、「別れ」の曲なのに、とても温かくて、そして切ないのです。
こんなのあり??
そう思いました。
でも、聞いてるだけで、感情が歌の世界に持っていかれてしまう。
歌の力を感じました。


「喪失」という大きなテーマが貫いている気がしましたが、インターネットで、「このアルバムは亡くなった母親への想いが詰まっている」という解説を見つけました。
明るく、前向きだけでなくていいのです。
歌は、様々な感情が形になったもの。
誰かの感情がそこに寄り添い、それだけで誰かの力になることもあります。


いつでも、誰かが、何かを「喪失」しています。
宇多田ヒカルという人間はそんな「喪失」とどう向き合ったのか。
これは「娘が母を喪失した物語」ということではなく、様々な物語になりえるものです。
僕が胸を掴まれたのは、僕自身が無意識に何らかの「喪失」を感じているのかもしれません。


「喪失」は悲しいばかりではない。
悲しいものは悲しいし、時に感情も溢れるけれど、でも、「喪失」から見つけるものもある。
宇多田ヒカルさんがこれからどんな曲を生み出すのか楽しみです。