教育改革先取り対応セミナーメモ

2016年8月2日
教育改革先取り対応セミナー@新宿
主催:ナガセ、日本教育新聞社
メモ


【高大接続システム改革について】
鈴木寛(文部科学省 大臣補佐官)


●人工知能で代替されにくい仕事
抽象的な思考
他者との関係性


日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に
~601種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算~
2015年12月02日
株式会社野村総合研究所
https://www.nri.com/jp/news/2015/151202_1.aspx


●卒近代
イギリスの産業革命以来の大きな変革の時代
「大量生産に向かう流れ」を卒業するということ


●なぜアクティブ・ラーニングか
アクティブ・ラーニングは、「ゼロを1」にする人を育てる。
問題を立てるのが人、問題を解くのが人工知能


●学習指導要領改訂の方向性
・何を学ぶか
学習内容の削減は行わない
・どのように学ぶか
主体的・対話的で深い学び
・何ができるようになるか
学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性の涵養
生きて働く知識・技能の習得
未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の育成


●高校生に求める能力
新聞の社説を読み比べて、そこから自分の主張をまとめることができる力。
主権者としての基礎の基礎。


●ふるい落としからの脱却
「ふるいおとす」というやり方ではうまくいかなくなった。
ふるい落としたら誰もいなくなってしまう。
それぞれの人が持つ適性から、すべての人が大切にされるような社会を目指す必要がある。


●PBLの必要性
実験、実技、実習がある理系の学生はよく学んでいる。
文系の学生だって、明日までにある重要なプレゼンテーションを準備しなければならない状況であれば徹夜してでもやる。
これは、社会に出て役立つ力を養えるPBLである。
PBLは言われたことをただ何となくこなす、という状況から脱却するための1つのスイッチになる。


大学1年目に、実社会に根ざしたプロジェクトをやると、その後の学びが変わる。
アメリカでは、このようなプロジェクトの活動は、高校までで終えている。


●異文化コミュニケーション
色々な理不尽な状況にあっても「タフ」になることが必要。
大変なことから逃げずに向かう姿勢。


「板挾み」の経験は大事。その状況を解くのが「哲学」。


●イノベーション精神はなぜ失われたか?
センター試験の多肢選択形式の問題。
与えられた選択肢から正解を選ぶような訓練が広がってしまった。
白紙に、唯一無二の個別暫定解をつくりだす力が必要。
こういうことをやらなくなったことがイノベーション精神が失われることと関係しているのではないか。


だから、今、センター試験を変える必要がある。


日本人に足りないもの
東大でグローバルリーダーを育てるプロジェクトに関わっている。
そこでグループワークをやらせると、留学生がリーダーになることが多い。また、インド人がいれば必ずリーダーになる。
日本人の東大生は、レポートを書かせればいいレポートを書くし、思考力は高いが、グループワークを仕切れなければ意味がない。


●歴史教育改革
センター試験の専門用語が共通一次の頃は2500だったものが、今のセンター試験は3500。
それを、2000に絞る。すでに報告書が出ている。
それらについては、単に覚えるだけでなく、深く学ぶ。
歴史は、「考える歴史」に変わる。


【ディープ・アクティブラーニングとその評価】
松下佳代(京都大学高等教育研究開発機構教授)


●中学校の授業から学んだこと
1つのテクストに多様な解釈がありうること
自分で価値判断を下してよいこと
浅い読みから深い読みへ読みを進めることができること
こうしたことは、一人ではなく、教師や班・クラスのメンバーとのインタラクションを通じて可能になること


●なぜディープアクティブラーニングなのか
アクティブ・ラーニング:学習形態に焦点
ディープ・ラーニング:学習の質や内容に焦点
→ディープ・アクティブラーニング


●ディープ・アクティブラーニング
アクティブであると同時にディープでもあること
外的な活動だけでなく内的活動でもアクティブであること
生徒・学生が他者と関わりながら、対象世界を深く学び、自分のこれまでの知識や経験と結びつけると同時に、これからの人生につなげていけるような学習


※「能動的に聴く」ことの重要性


●学習評価の分類
直接評価ー間接評価
量的評価ー質的評価


間接評価:生徒の学習についての自己認識を通じて、学習成果を間接的に評価
直接評価:生徒の知識や技能の表出を通じて、学習成果を直接的に評価


直接・量的:客観テスト
直接・質的:パフォーマンス評価
間接・量的:質問紙調査
間接・質的:学習者による自分の学びについての記述


●パフォーマンス評価
コンピテンスは直接観察不可能
よって、あるパフォーマンス課題を設定する
※あくまでも、コンピテンスを見る「ツール」としてのパフォーマンス
評価基準は「ルーブリック」で


2つのアプローチ
①パフォーマンスそのものに焦点
②パフォーマンスを可能にしているコンピテンスに焦点
特に教育では②の視点が重要
→長いスパンで評価する必要性
長期的ルーブリック


※あるスポーツでその日のパフォーマンスだけで評価するのではない、ということ。


●アクティブ・ラーニングの評価の難しさ
①個人評価とグループ評価
②プロセス評価とプロダクト評価
③評価のジレンマ


【トビタテ!留学JAPANの概要】
●留学で得られるもの
エンジンとコンパス
視点、興味、目標


【東京大学の推薦入試と国の入試改革プラン】
南風原朝和(東京大学 理事・副学長)
●「学力の3要素」について
思考力・判断力・表現力は、そもそも1つの要素か?
「表現力」は「技能」であり、「知識・技能」と区別できない
「知識」は「思考・判断」の基盤として位置付けられているが、思考して理解するプロセスを通して再構築される。
「知識」と「思考・理解」との双方向の関係をふまえなければ、あらぬ方向に行ってしまう。よって、教育改革の基盤とするには脆弱なのではないか。