死後の生物学(松田先生講演メモ)

2016年6月17日
高校生のための特別公開講座
「死後の生物学」
松田良一先生


●フランケンシュタインの原作小説はすごい。
原作はメアリーシェーン、19歳頃で書いた。松田先生談「只者ではない」。
現代まで続く様々な問題の根幹に関わる様々なことへの警鐘がすでに含まれている。


●死後硬直は、細胞膜の透過性の増加による細胞質へのカルシウムイオンの流入による最後の筋収縮


●死後の腐敗は腸内細菌が原因。
★体内環境が無菌状態に保たれていることが分かっていれば、どこからバクテリアが入り、どこからどのように腐敗していくのか考察可能か??


●死後、腸管を除いて37℃で維持すると、臭くならない。腐敗しない。
●死後6時間後くらいで死後硬直が解除される。柔らかくなる。
タンパク質分解酵素によって、「装置」全体が壊れる。


●死後のラットの筋肉では、ジストロフィンが分解し、細胞膜の透過性が増大し、エバンスブルーが浸透する。
これは、筋ジストロフィーのマウスの筋肉の状況と似ている。


●低酸素誘導性因子
HIF-1α
常に作られているが、普段は分解されている。
低酸素状態では、その分解のプロセスで働く酵素がはたらかなくなる。
すると、この因子は核内で転写を活性化。
赤血球を増やすなどの応答。


●死んだマウスの脳や心臓で、HIF-1αが発現する。
低酸素で生きているときに起きる反応と同じ反応が死後に起きている。
死後3時間での写真で。


●フランスの化学者ラボアジエがギロチンで処刑される時、「斬首後も意識があったなら瞬きし続ける」と言った。
実際に15秒程度瞬きし続けた、らしい。


●「死後の生物学」の目指すもの
・死後変化・過程の理解
・HIF-1αの発現による細胞死の抑制


●皆さんにいいたいこと
本を読もう
他人と違うことを考えよう
文理にとらわれるな


●質疑応答
カルパイン、死後のタンパク質分解ではたらくとされるタンパク質分解酵素
メタロプロテアーゼ、細胞外でもはたらくタンパク質分解酵素
ニューログロビン、神経に存在する酸素結合タンパク質。HIF-1αによって転写が高まる。