”Why×What×How”で考える

先日、授業見学に来ていただいた株式会社トモノカイの河合さんよりいただいたメモと、それに対しての僕からの返信コメントです。


<いただいたメモ>
先生の授業は、当たり前ではあると思いますが、目的そのものを改めて見つめなおし、目標達成を愚直に追求したからこその形であると感じました。
だからこそ、


・生徒に何をインプットし意識させるのか?
→ 授業の目的を何よりも意識させる(教科の内容の伝達よりも)


・生徒に何を問うのか?
→ 様々な角度から生徒の「興味の種」となるような問い


・生徒に何を(ルール的に)課すのか?
→ 「自分で考えること」であり、学習のペースや方法も自分で考えることを課す


・授業において先生の役割は何であるのか?
→ 生徒の主体的な学びのための促進者としての役割を重視


・授業、そして年間を通じ、生徒にどのような変化を期待し、場をデザインするのか?
→ 決まりはない。が、上位目標達成のためには一時的な停滞や発散、脱線も厭わない。


について「一貫性」を持っておられるのだと思います。
正解は一つではないですが、同じような問いを掲げている我々にとって特にその一貫性が非常に参考になりました。


授業においては
「目的(Why)」× 「何を生徒に与えるのか?(What)」 × 「どのような場をデザインするのか?(How)」
がキーになると個人的には考えておりますが、
「教材はこんなものを使った(What)」「ディスカッションをさせる(How)」といった議論が中心となり、情報は数多あるものの、そもそもの「目的(Why)」を追求しきれないことがこういった取り組みを難しくさせる要因にもなり得るのかと感じました。
その意味で最初に先生に「何を持って成功とするか?」についてお伺いし、「成績」とお答えいただいたのが印象的でした。


我々も民間企業という立場ではありますが、生徒さんに向かい合いながら、どういった学習のサポートをしていくか、そして逆に先生方では難しいが、我々にできることは何だろうかとも問いながら今後も活動していきたいと考えております。


最後に、現状は以下の疑問を持っています。
もしお時間あるときでもご意見をいただければ幸いでございます。


・例えば、大野先生のプリントと手法を真似し、実践した時に同じような結果に繋がるのか?繋がらないとすれば何がポイントになるからか?
・現状Active Learningを「できていない」「やるべき」と感じている先生方が実際に着手した際に、今後何に困るか?
・「成績」といった観点以外に評価すべき指標や内容はないのか?


<返信コメント>
ありがとうございます。
「目的」を中心にデザインしている、という部分を感じていただけて、とても嬉しいです。
いくつかコメントさせていただきます。


●「何を持って成功とするか?」は、「成績」
これは、「効果測定としての評価」のツールとしては、「成績」を使うという意味でご理解ください。
実際に成績が上がらなかったから「失敗」ということに直結するわけではありません。
「成績」という物差しでの結果を要求することで、プロセスの中での成長が促進される、という立場です。
実際に、「成績」という物差しでは結果が出なかったけれど、AL型授業ですごく成長できた生徒がいます。
以下のブログ記事を参照ください。
http://biologymanabiai.jimdo.com/2015/…/05/周囲の幸せの感受性を高めるために/


●例えば、大野先生のプリントと手法を真似し、実践した時に同じような結果に繋がるのか?繋がらないとすれば何がポイントになるからか?
「手法」を真似することに、本質的な意味はないと思います。
今、色々なところで盛んに言われていますが、「やり方(Doing)」よりも「在り方(Being)」が重要だ、という立場です。
どんなやり方をしても、「在り方」がしっかりとしていれば問題ありません。
やっていく中で、柔軟にやり方も変容し、どんどん改善することでしょう。
しかし、「在り方」がしっかりしていなければ、どんな「やり方」を採用しても、行き詰ってしまうと思います。
そこが最大のポイントだと感じます。


●現状Active Learningを「できていない」「やるべき」と感じている先生方が、実際に着手した際に、今後何に困るか?
上にも書きましたが、どんな「やり方」を採用しても、必ず行き詰ります。
その時に、何らかの「やり方」に答えを求めてしまうと、場合によってはさらに苦しくなってしまいます。
「こうすればうまくいく」というゴールデンルールがない、という前提に立ち、柔軟に変容し続けることができることが重要です。


●「成績」といった観点以外に評価すべき指標や内容はないのか?
具体的には、アンケート調査でクラスの状態を把握しています。
そこで把握した状態と成績は、かなりリンクしているので、両方を見ることはとても意味があります。
AL型授業の基盤は「安全・安心の場作り」です。