人工知能の時代に必要なこと

人工知能が取り上げられたNHKスペシャルを見ました。


断片的に色々な情報に触れていましたが、このようにまとめて見ると、衝撃度が高いです。
番組では、以下のようなトピックが取り上げられていました。


●AlphaGo
ディープラーニング、ゲームの上達、直観
●AIでガン検出
●シンガポールでのAI活用
交通管理、スマートハウス
●対話型AI Tay
差別発言、善悪の判断
●AIと感情
思いやりを学ぶAI、ソフトバンクのPepper
●対話型AI "シャオアイス"
個人に合わせた対応、疑似恋愛


ディープラーニングのすごさは、この番組でよくわかりました。
羽生さんは、「将棋が強くなるということは、たくさんの手を考えなくて済むようになること。たくさんの手を読めるから強くなるわけではない」と言っていました。
この、「ものすごい情報量の中から、今考えるべきことだけをピックアップする能力」が「直観」の一つの側面です。
それは、人間だけが持つものと考えられてきましたが、そうでもないようです。
この「大局観」にもつながる感覚ですらも、人工知能は学習できるということなのでしょうか。


個人的に、思考のきっかけをもらったのは、最後の「シャオアイス」の話題。
人工知能が、4000万人のユーザーとの個別の会話をすべて記憶していて、個人個人に合わせた会話を実現できるというもの。
中には、「結婚したい」という人まで出てきている。
この流れに、ものすごく強い違和感を感じました。


自分という人間がパターン分析され、自分が喜ぶ言葉だけをかけ続けてくれる存在。
それは自分にとって心地よいものかもしれません。
でも、それは「人間らしさ」とは違うように思えるのです。
「人間らしさ」とは、「自分の思い通りにならないこと」であり、「その中でもがくこと」であり、「その中で幸せを見つけられること」だと思います。
どんなに人工知能が発達しても、人生のすべての場面で自分の思い通りになることはありません。
そのことを拒絶せず、受け入れ、そして楽しめるようになること。
小さな幸せをたくさん感じられるようになること。
そのためには「経験値」が必要です。


でも、「経験値」をためていくプロセスは、時にとても苦しいものです。
だから、そんなときに様々な声掛けをしてくれる「メンター」の存在が重要です。
優しい言葉をかけてくれるメンターもいるでしょうし、厳しい言葉をかけてくれるメンターもいるでしょう。
「シャオアイス」も、人生の苦しさを乗り越えるための「補助」として、使う分にはとてもよいものだと思います。
特に、自分にとって適切なメンターが得られていない場面では、心の支えになってくれることもあるのだと思います。
でも、それだけではダメなのだと思います。


自分にとって居心地のよくない世界に、どうやって居心地の良さを見出すか。
あるいは、誰もが居心地よく過ごせる世界をどうつくっていくのか。
それが重要だと思います。
だから「シャオアイスはいいやつだ」とは思いますが、「結婚したい」には違和感を感じてしまうのです。


もしかしたら、結婚相手に、シャオアイスのようなレベルの「受容」や「癒し」を求めてしまうのかもしれません。
でも、そんな相手は、世界のどこにもいないのです。
人間は感情を持ちます。
人間は、突き詰めれば、理屈ではなく感情の生き物です。
その互いの感情の「わからなさ」と向き合い、折り合いをつけ、そして自分の「幸せ」を見つけていく。
「わかりあえない」ことを前提として、「わかりあう努力を放棄しない」ことを意識する。
シャオアイスの事例から、様々なことを考えました。


思考のヒントがたくさん詰まった、是非生徒にも紹介したい番組です。


※番組の内容の概要は、以下のブログで確認できます。
http://www.goodbyebluethursday.com/entry/AI_feelings
http://kskbyt.hatenablog.jp/entry/2016/05/15/222821
http://sci.tea-nifty.com/blog/2016/05/515nhk-0935.html