理数系教育におけるアクティブラーニング

理数系教育におけるアクティブラーニング@筑波大学文京校舎
メモ


【各学会からの発表】
●日本生物教育学会
1月に東京理科大学で全国大会
8月の全国大会は「夏の研修会」に名称変更
日生教全国行脚のシンポジウム開催中

 

●植物学会
植物学関連ポータルサイト「植物科学への誘い」
※3つの学会で連携して運営。

植物学会のホームページの様々なコンテンツ

和文総説集「植物科学の最前線」
※毎年開催される年会でのシンポジウムの内容が総説になっているのを一般公開。

研究トピック
※第一線でで活躍する研究者が最新の研究成果をわかりすく紹介。

 

●日本化学会
化学基礎の教科書の用語を検討。

高校向けの実験書を作成中(今年度出版予定)

 

●日本地球惑星化学連合
地学オリンピック、来年度は日本で開催

地学領域での教育用語の検討

 

●情報処理学会
小中でも「情報」を。
大学の授業を公開しての高校教員向けの研修会を実施。
教員免許更新講習を2014年度から開始。
大学入試にも「情報」を。

 

●日本数学会
新カリの最初の新入生に関しての情報共有。
「行列」がなくなったことが大きな変更点。
現状ではあまり大きな影響はなさそうだが。

 

●日本統計学会
統計を数学の中でどう扱うのか。
eが使えないので、正規分布が扱えない、という議論等。


【パネルディスカッション】
 (★は大野の雑感)

トヨタの新入社員でも、研修期間が5ヶ月だったものを1年間に延長することになった。
データの採り方や統計手法が身についていないと現場で使い物にならない

問題解決力が大事。

 

アクティブラーニングを実施するには「洗練された説明」、「高い教授力」が必要。
★このようなスキルがあるにこしたことはないけれど、「まずは教員がエッセンスを教え切る」という前提を外して考えてみてもよいかもしれない。
これからは、反転授業関連で動画コンテンツも増えてくるだろうから、それをうまく使うことも一つの解決策になりうる。
こういうスキルがないとALができない、というのではなく、今の自分のスキルに応じて、それぞれがそれぞれのALを展開できるとよいのではないだろうか。
ただ、「コンパクトで本質をつく説明」ができる、ということは、授業改善の方向性として意識しておく必要はあるだろう。

 

学校に色々なものをいれるのではなく、現実の課題がある社会に生徒を出していくとよいのではないか。

「学び」には段階がある。
どの段階を狙っているのかを考える必要あり。
それぞれの段階に応じたアクティブラーニングがある。
AIDCAを授業に応用。
AIDCAとは、「消費者が消費行動を行うまでの心理的な過程を表 した消費者行動分析モデルの名称」(wikipediaより)
「関心なし」→「関心あり」→「興味あり」→「知識あり」→「理解」→「行動」という積み上げ式の流れ
★学習「内容」に関する関心や興味が、知識獲得や理解の前提になっていることに違和感あり。
ALをどう位置付けてよいかわからない人への入り口の説明として有効性があるのかもしれない。
ただ、「内発的動機付け」は、「他者との関係性」も重要な要素なので、学習項目自体に関心や興味が向いていなくても、「友達と一緒だからやってみる」ことがあり、それが「理解」につながることもある気がする。

 

効果と限界を認識しておく必要がある。
★これはとても重要なこと。

 

※特にALに向く単元、向かない単元はあるか?
物理ではどの分野でも効果がある。
化学では、無機化学ではほとんど効果がなく、教えた方が速い。
ただし、モルの計算はものすごく効果が高い。
★いわゆる「暗記モノ」の内容ならば、むしろ講義はほとんど必要なくて、教科書や資料集、参考書、問題集などで各自のペースで進められた方が時間のロスが少ないように感じる。「モルの計算」のように、概念や方法がつかみにくいところでALが強力なツールになることは事実で、「とりあえず始めてみたいけれどどこから手をつけていいのか・・・」という場合には、鉄板の導入分野だと思う。生物であれば、「セントラルドグマ」あたりはかなり導入しやすい単元に感じる。

子どもの様子を見つつ、その場その場で方法を変えてみても良いのではないだろうか。


教え込んだ方がいいときには教え込みも必要なのでは?
★必ずしも「生徒に任せる」ことだけに固執することはない。
現実には、「時間制限」があるので、本当は生徒に任せたほうが定着がいいところも「とりあえず教員が話して進めてしまう」ような場面はありうる気がする。
「無理をせずに実践する」ことは重要なポイント。

 

※アクティブラーニングが広がると、意欲は上がるかもしれないけれど、PISAなんかの順位は落ちるのではないか。これをどう捉えるか?また、どちらかといったら、どちらの道を選ぶのか?
★意欲が上がれば学力も上がる、という相関はありそう(ALとAL以外というデータが取れないので、感覚的なものですが・・・)。
まずは、「下位層」が減るという現象は起こるはず。
また、「突き抜けた層」には、むしろ「教員の通常の講義」は邪魔になることも多いので、自由に学びを深められるという点でも有効性が高いように感じる。

 

ALは受験学力に直結しない。「わかる」と「できる」は違う。受験学力のための演習は別途デザインするべきである。
★予習・復習、宿題を課すことなく、また受験テクニックの伝達を意識した講義もなくても、受験学力はつくはず。
大事なことは、「(生徒自身が)授業の時間の質を高める」こと
つまり、「家で一人でできること」よりも、「対話できる相手がいる状況で本質的な理解を目指す」ために授業の時間を使えることが重要。
必要があれば、受験テクニックの勉強は家でもできるし、必要があれば授業中に「ピンポイントで質問」してくれれば効率がよい。

 

※「学び」の質に影響する要因、自然体験と遊び。他には何かあるか?
★「適切な自己肯定感」は、学びの質に大きく影響するように思える。自己肯定感が高すぎても低すぎても、「I’m OK. You are OK」の感覚を持ちにくいように思う。
ただし、「適切な自己肯定感」も、ALの中で人と折り合いをつけながら、相互依存的な活動をしていくことで育まれていくのだろう。

 

ものごころあるところからゲームがあった世代。昭和48年生まれ以降。
これが「受け身」の源泉かもしれない。

トヨタは、やらないやつよりも、失敗したやつを評価する。

 

※日本の教員全員にALを成立させる力量を求められるか?
方法をシェアすると、やってみようという教員もいる。
大切なのはmustやshouldの発想ではなく、canとwantを大切に、地に足のついた実践を個々の教員が積み重ねていくこと
mustやshouldの発想では、教員は疲弊し、ALは機能しない。
それぞれの教員が「求道者のマインド」を持って日々の授業を改善し続けることが最も重要だろうと思う。
そうすれば、「ALを成立させる」ための引き出しが増えていくはず。
焦らず、じっくりと、でも真摯に実践と向き合うことが大切であるように思う。