技術指導がない中での成長とは

剣道部の秋季大会を引率してきました。
1部と2部に分かれてのトーナメントで、男女ともに2部でしたが、どちらも素晴らしい試合を見せてくれました。
特に、女子はベスト4に残り、これは十数年ぶりのことだと言うことです。

 

国立高校には、剣道の技術指導を本格的にできる顧問がいません。
日常的に指導をいただける大人の専門家もいません。
そして、女子に顕著ですが、初心者もそれなりに多く、部員数も決して多くありません。
普通に考えれば、真剣に剣道に打ち込もうとしたら「あまり良くない環境」のように思えます。
でも、本当にそうでしょうか?
むしろ、このような環境だからこそのメリットがあるのではないでしょうか?

 

部活動は、つまるところ「人間が成長する場」です。
そのために、「しっかりとした大人の専門家がいて技術的なアドバイスをすぐもらえる」ことは、必要条件ではないだろうと最近感じています。

 

"成長"は、自分でPDCAサイクルをまわすことで質が高まります。
そこで重要になるのが"気付き"です。
成長のためには、気付きの質を高めることが有効です。
気付きの質はどのように高まるのでしょうか?あるいは、自ら高めることができるのでしょうか?

 

まず、「気付きの質が高まる」例として、今日のような大会への参加があると思います。
非日常の空間で、そこ以外ではなかなか経験できない心の状態を経験することで、自動的に何らかの気付きが得られてしまうことがあります。
よく甲子園で、「試合をしながら強くなる」という表現が使われますが、これも、非日常の心の状態から質の高い気付きを得て、それを身体にフィードバックしての総体として起こる現象なのだろうと勝手に理解しています。
つまり、「気付くだけでできるようになる」ということがあるのだろうということです。
試合に勝つことで自信がつく、という要素以外に、「高い質の気付き」により、自動的に一段上のレベルに到達できる、ということです。

 

次に、環境によって受動的に気付きの質が高まるのではなく、自ら意識して気付きの質を高める場合です。
これには、自分でPDCAサイクルをまわして成長しようという「求道者のマインド」が必要です。
指導者から言われた通りに動くより、自ら考え、自ら動き、自ら気付く方が、「気付きの質」が高まるだろうと思います。
成長スピードは遅いかもしれません。
例えば、剣道で言えば、専門家の大人の指導者がきっちり教えた方が、「強くなる」ことだけを考えれば時間対効果が高いのだろうと思います。
しかし、時間対効果で語れない、本質的な成長は、それだけでは得られないように思えるのです。

 

翻って、今の国立高校で、剣道の素人である僕が顧問として何ができるでしょうか。
何もできないわけではないし、だからと言って何かをやり過ぎるのも必要ありません。
ただ、成長のための気付きの質を高める何らかの助言はできそうです。
それは、技術的な専門家でなくてもできますし、時に技術的な専門家でないからこそできることでもあるかもしれません。

 

この一ヶ月の国立高校剣道部を見て、自分たちの力での「気付き」からの「成長」を感じます。
「国立高校だからこそできること」を考え抜き、残された時間でできることをやり抜いて欲しいと思います。
技術指導のできない顧問の言い訳にも聞こえそうな雑感でした。