アクティブ・ラーニングの不安要素

首都大学のリカレント生物学1日目。
3本の講義後に、松浦先生の司会で、次期学習指導要領に向けての情報交換会がありました。
例年は、「内容」の話が中心ですが、今年は大半の時間がアクティブ・ラーニングに関する内容。
しかも、松浦先生がおっしゃるには、「12年やってきたけど、こんなに盛り上がったことはない」とのこと。
ここでの質疑が、今後アクティブ・ラーニングが広がっていく中での共通の不安要素である可能性があると感じましたので、松浦先生のお話とともにシェアさせていただきます。
僕個人としては、このようなやりとりを聞きながら、「この半年で一気にこんな状況になったのだなぁ・・・」と不思議な感覚でした。
8月頭は発表ラッシュです。
自分に今できることは何か考えながら準備をしようと思います。


●クリエイティブな授業をやれる層とやれない層があるのではないか?まずはベーシックな授業をすることも必要なのではないか?
→論文でも、生徒主体の学習の方が結果がいいというデータがある。


●考えるためにはベーシックな内容が必要なのではないか?
→本当にどこがコアなのか?それを見極める。
「問いを立てられる生徒」を育てたい。


●40人でアクティブ・ラーニングは可能なのか?少人数で生徒からの質問だけで構成しているが、大人数になるとできない気がする。
→生徒からの質問を多く引き出せるか、もしくはグループワークを増やすか、どちらかのパターン。


●「とにかくやらなければいけない」という流れで総合的な学習と同じような失敗が起こるのではないかと心配。「指導方法」まで学習指導要領に入ってくるのも心配。
→文科省は、かなり本気な雰囲気を感じる。うまくいこうがいくまいが、とにかくそれでやろうとしている。
大学教育、大学入試、高校教育を一体化して改革しようとしている。
松浦先生の立場は、それを何とか成功させようという立場。
今ここでチャンスを逃すとまずい。


●英語などでは生徒が動き回ったり活発にやっているが、結局何が身についたのかよくわからない。理科はしっかりと体系的に教えるべきなのではないか。
→すでにやっている人はそうは思っていないようだ。


●トップダウンでやるとうまくいかないのではないか?
→だから、今のうちにトップダウンではないやり方で広めていく。
本当のトップはしっかりと考えている。
問題は、それを見ながら人を動かす人たち。


●単に考えさせればいいのかは疑問。それで「科学」というものが身につくのか。仮説実験授業はすごく良かった。アクティブ・ラーニングだけを取り上げて押し付けるのはどうなのか。
→今言っているアクティブ・ラーニングはすごく広い概念。
単に決められたレールを通るものではなく、しっかりとした仮説実験授業であれば、それはアクティブ・ラーニングと言えるだろう。