授業見学振り返りシート

授業見学に来ていただいた東京大学教育学部3年生の佐々木さんより、「振り返りシート」の回答をいただきました。
こちらでシェアさせていただきます。


①見学のテーマ
「学び合い」の授業において、学びの質を確保するためになされているのはどんなことか?


②テーマに関しての振り返り
「目標」「要点」の明示や、グループづくり、生徒の質問への対応といった形での「環境整備」を通して、単なる「自習」に留まらない「学び合い」を提供していることが分かった。


③授業見学での気付き・新たな疑問・ツッコミ
●「先生がほとんど教えない」という授業形態は斬新で、非常に衝撃的だった。しかし、プリントの活用と徹底した環境づくりによって、しっかり「学び合い」の授業が成立していて素晴らしかった。また、必修範囲とは別に、希望者向けの発展問題を載せることで、より学習意欲の高い生徒にも対応しているところは、是非見習いたいと思った。
●「学び合い」を重視する授業は、ある程度「生徒の自己責任」に依るところがあるが、「生徒の学力保証のために学校が積極的に介入する」という方針を掲げる学校(あるいは、そのような風土が根付いた地域)では、「生徒の学力が伸びなくても、それは生徒の自己責任」という方針は受け入れられない可能性があるのではないか。(特に、周辺に塾や予備校が存在しない地方進学校において)
●大野先生の授業では、学習の進度が生徒によってばらばらであるが、一つの学級内にさまざまな学習意欲・習熟度の生徒が混在し、かつそれらの個人差が大きい場合においても、この手法は活用できるのだろうか。(習熟度の個人差を「生徒のやる気の問題」ですべて片づけてしまうことになるのではないか)


④その他のご意見・ご感想
お忙しい中でお時間をくださり、ありがとうございました。
いわゆる「アクティブラーニング」「探究学習」の現場を見学したのは初めてでしたが、生徒の皆様が非常に生き生きしていたのが印象的でした。「学び合いが学習意欲を引き出す」ということを実感しました。
「学び合い」の理念を実践に落とし込んでいけるよう、私自身も研鑽を重ねていく所存です。今後もよろしくお願いいたします。


<大野の雑感>
※「学力向上のために積極的に介入する」学校では「生徒の自己責任」は受け入れられない可能性がある?
→現状では、そうした「方法」が受け入れられない可能性はあります。しかし、大学入試も含めてそれではどうにもならない時が迫っています。求められることは「偏差値を上げる」ことではなく、「これからの時代を生き抜く力をつける」ことです。そのことを、教員も生徒も理解した上で、内発的に取り組むものでなければ、アクティブ・ラーニングは形骸化する可能性が高いでしょう。現時点では、あらゆることを否定せずに、でも、自分が大切にしようとするものの価値を語り、少しずつ状況を変えていくことが必要だと考えています。


※一つの学級内にさまざまな学習意欲・習熟度の生徒が混在し、かつそれらの個人差が大きい場合においても、この手法は活用できるのか?
→習熟度に関しては、「習熟度別」にするのではなく、むしろ様々な習熟度の生徒が混在している方が、この「方法」は力を発揮するものと思います。「同じ学力でないと効率的に学べない」という既存概念から脱して、「互いに学び合う」ことの価値を伝え、また実感してもらうことがとても重要だと思います。「わかったつもり」で先に進んでしまうことの怖さを実感する機会も増えるだろうと思います。また、やる気の差がある場合でも、本当の意味でやる気を引き出せるのは、一人の教師のテクニックや熱意ではなく、周囲の生徒同士の声かけであることの方が可能性が高いと思います。その点でも、この「方法」が有効であると考えます。
ただし、この「方法」を実践するにあたっては、大前提として教員の「考え方」や「在り方」が問われます。そこと向き合う覚悟が何より必要とされます。