引き出す力

久しぶりに、「クラシック音楽館」に見入ってしまいました。

N響の首席指揮者に就任するパーヴォ・ヤルヴィさんの演奏が放送されたのです。

演奏は今年の2月。
十数年ぶりの共演ということでした。
曲は、エルガーのチェロ協奏曲と、マーラーの交響曲第1番。


ヤルヴィさんご自身の曲の解説に加えて、リハーサルの様子も放送されました。
マーラーのリハーサル、すごい、すごい、すごい。
こんなにも短い時間でオーケストラの力をぐいぐい引き出していく。
なんでこんなことができるのだろう?
とにかく、この指揮者はすごい。


マーラーは、圧巻の演奏でした。
全く飽きずに、ぐいぐい引き込まれる演奏。
まずは単純に指揮がかっこいい。
このかっこよさ、まるでカルロス・クライバーのようです。
そして、指揮だけでなく演奏も洗練されています。
単純に表現しようとすると「指揮者がオーケストラを掌握している」ということになってしまいますが、そうではないのです。
演奏者の一人一人をプロとしてリスペクトし、基本的には「信じて任せる」。
細かい演奏の指示というよりは、「想像力をかきたてる」ような指示をする。
後は出てきた音を聞いてニコニコしている。
あれ、これって僕が教室でやろうとしていることと同じなのではないだろうか?
ざっくりした指示のようで、オーケストラから発せられる音は洗練されている。
そして、血が通っている。
短いリハーサルですから、お互いが「わかりあう」ことは難しかったと思います。
でも、何というか、今日の演奏からは指揮者、オーケストラ双方から「分かり合いたい!」という気持ちを感じました
そして、「皆でいい音楽を創りたい!」という気持ちが強く共有されているように感じました。
全ての演奏者が、主体性を持ち、真摯に音楽と向き合い、かつ楽しんで演奏しているように見えました。
これも「安全と信頼がアクティブラーニングのインフラ」と同じことではないか・・・?
演奏を聴きながら様々なことが頭を駆け巡りました。


「N響ってこんなにすごいオーケストラだったんだ・・・」と単純に驚かされました。
 僕は今日の演奏を表現する適切な言葉を持ちません。
ただ、こんな指揮者にN響に来てもらえたことに幸せを感じます。


教育とは「教える」ことではなく「引き出す」こと。
この理念と相通ずるものを、このコンビから感じます。
どんな力をN響から引き出し、どんな音楽を聴かせてくれるのか。
これからが本当に楽しみです。