救うこと、救われること

ある生徒と話をしました。
色々なことを話しました。
様々な困難と向き合い、人生を真摯に生きようとしている生徒です。
でも、自分に自信をなくし、色んな不安を抱えて生きている生徒です。
その背中を押してあげられるような、人生のエールを送るつもりで、色々なことを話しました。


来週、とても大きな出来事があるそうです。
それを乗り越えられるように、僕なりのエールを送りました。
その生徒は、「先生の言葉に本当に救われています。ありがとうございます」と一生懸命伝えてくれました。
そして、「自分なんかのためにたくさん時間を取ってもらうことが申し訳ない」と言いました。
僕は、「恩送り」の話をしました。


昔、僕も辛くて辛くてどうしようもない日々を過ごした。
でも、そんなときに寄り添ってくれる人がいて、その人の支えで何とか乗り越えることができた。
その人とは職場も変わってしまったし、直接「恩返し」はできない。
でも、苦しんでいる誰かのために、昔僕がしてもらったように少しでも何かができれば、きっとその方にも喜んで思える。
だから、「恩送り」は大切にしているし、もし今あなたの力になれているとしたら、それは僕にとっては一番嬉しいこと。


話しながら、思わず感極まりそうになりました。
僕の方が、です。
その生徒は、「そうか、こうやって先生と話してもいいんですね」と、明るく話してくれました。
電話の後もじんわりと心に残る感情がありました。
いい話ができた、と思えました。
なかなか感じない感情でした。


先日、ある先生から、「大野さんは新宿山吹に来て、ボランティアの担当になったり、色々な経験をしてよかったですね。語る言葉が変わってきたように思います」と言われました。
僕自身も、今それを実感しています。
5年前の自分では、今日のような言葉を紡ぎ出すことはできなかったと思います。
全ては、様々な生徒や先生方、出会った皆様のおかげです。
2年前に、苦しさから逃れようとしたこともありましたが、それをせずに、しがみついてもがいて、本当に良かったと思えます。


平井堅さんの「思いがかさなるその前に」という曲に、こんな歌詞があります。


"肩を落とすキミを見る度に
連れ出すのは僕の方なのに
時々わからなくなるよ
僕が救われてるんだ"


この歌詞が帰り道でふと頭をよぎりました。
「僕が救われてる」んです。
僕という人間に、「ここにいる意味」を感じさせてもらえて、僕自身が承認されているんです。
それだけで、なんとも言えず、幸せなのです。


これから自分に何がどこまでできるかわかりません。
大したことはできないかもしれません。
でも、願い続け、行動し続けようと思えました。
今日の気持ちを忘れないように、記録に残しておきます。