生徒とアクティブラーニングを語る

先日、アクティブラーニングの教材開発を進めている某社の方が授業見学にいらっしゃいました。
生物担当の方(Aさん)と日本史担当の方(Bさん)の2名です。
授業の後に、生徒2名(C君とD君)を交えて意見交換をしました。


Aさんとは先日一度お話ししていたので、ある程度イメージがある状態で見ていただいたのですが、Bさんは初めてなので、様々な疑問が浮かんできているようでした。
この疑問に対して、生徒たちが見事に対応してくれました。
プリントの構成、授業の構成、実際の流れ。
淀みなく説明をしてくれました。
授業の基本的なことについては、僕の出番はほとんどありませんでした。
素晴らしいです。


これだけで個人的には十分満足したのですが、話題の中でいくつかシェアしたいことがありましたので、お伝えします。


①トラブルへの対応
この日の授業は「免疫」がテーマだったのですが、授業プリントの印刷が間に合わず、プリントなしで冒頭の説明を行いました。
その後、NHK高校講座の映像を流しておいて、印刷のためにしばし教室を空けました。
すると、流れていた映像がすぐに止まってしまったそうです。
普通なら、教員が戻るまで「自由」な時間を過ごすことになると思いますが、C君が、「今日の授業の内容を確認しよう」と他の生徒のところに相談に行ったそうです。Bさんは、このことを「今日一番良かったこと」として挙げていました。
そして、生徒に対してこんな質問をしました。
「色々な学校で色々な授業を見ているけれど、これは初めて(そもそもこういうトラブルも少ないが)。普段からそういう意識なのか?」
これに対してC君は
「あまり考えているわけではなく、ごく自然に動きました」
と回答。
「すごい"アクティブラーニング"ですね」と驚いていました。
おそらく、授業冒頭に「目的」の確認をすることが普通になっているのでということだと思います。


②発展課題について
今日のグループワークでは、D君が一生懸命質問に答えながら説明する場面がありました。
Bさん
「自分が終わってることを人に教えるよりも、発展課題とかやりたくならなかった?」
D君
「いつもは聞く側なんですけど、今日はたまたま自分が説明する側になりました。たぶん、こういう風に説明をずっとしたのは初めてですが、自分ができたと思っていることでも、質問されるとちゃんと説明できなくて、説明するのは難しいと感じた。だから、今日に関しては、自分の理解も深まったし、先に進みたいとは思わなかった。もし完璧にできちゃったら、先に進みたくなるかもしれないけれど、まずは、もっとちゃんと説明できるようになりたい」


③授業を受けて良かったこと
Bさん
「こういう授業を受けて、生物の授業以外の場面で役に立ったことや良かったことはある?」
A君
「板書をただ写すことに疑問を感じるようになった。この作業には意味がないのではないか。そう考えるきっかけは、この授業の組み立てからです」


④科目特性について
C君
「生物だからできる、ということがある。数学などだと、まずは先生がある程度のところまで引っ張る必要がある。その後の問題演習なら、少しは意味があるかもしれない」
大野
「どんな科目でもできるはずだし、数学はやりやすい。答えが決まっているから、達成したかどうかがわかりやすい。その答えにたどり着くまでのプロセスについて、皆で対話し理解を深めればよい。それに、教科書や問題集等で基礎・応用・発展など、難易度の異なる問題も用意されている。だから、個々の到達度に合わせた学びも進めやすい。それに対して生物は、内容を理解したかどうかの可視化が難しい。感覚的に“わかった”と思うしかない。一番わかりやすいのが用語とその意味の暗記。これなら達成度は可視化しやすい。評価しやすいから、授業の内容もそれに合わせたものになる。でも、本当はそれだけではあまり意味がない。それに、用語中心の授業では生徒同士で対話する意味がうすい。生物が特別こういう授業に向いているということではないと思う」


⑤集団サイズについて
C君
「この人数(10名程度)だからできる。人数が増えると、全員に目が行き届かなくなる」
 大野
「少人数でも本当の意味で“目が行き届く”ことは難しい。だから、それをできないというところからスタートしなければならない。そう考えれば、40人でも200人でも、同じようにできるはず。また、40人でやると、「40人だからできる。少人数だと厳しい」という声も聞く。集団の多様性が低下して、“気の合う人”や“教えてくれる人”が見つからない可能性が出てくると思っているのだろう。結局、考え方次第。どんな集団サイズでもできるはず」